ネパール・ヒマラヤ・国際協力

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ヒマラヤ保全協会事務局長

管理人  [ ヒマラヤ保全協会事務局長 ]

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  活動資金をいかに調達するか -助成申請とCRM-

 東京ボランティア・市民活動センターの主催で、ききマネ講座第9回「助成申請の手順とコツ」が開催されました。
 この講座では、最初にワークショップをおこない、申請書を、団体のことを知る人と全く知らない人に読んでもらい、質問をだしてもらう方法を実習しました。申請書を書いた人はわかっていても、外部の人には全くわからないということはよくあります。自分がわかっていることと、相手につたえることとは別のことであり、あくまでも相手にわかってもらえるように書かなければなりません。このような意味で、特に、団体外部の人に申請書の原稿を読んでもらって質問を出してもらい、それを申請書作成に反映させるというやり方は効果的です。
 その後、「助成金情報はどうやって探せばいいの?」、「助成団体は申請先をどうやって決めているのか?」「助成を受けやすい事業や内容ってあるの?」などについての講義がありました。
 配布された資料には、CRM(Cause-Related-Marketing)についても解説されていました。これは、企業が広報をおこなうときに、NPOとパートナーシップをくむという方法であり、企業側はNPOに対して財政的な支援をおこない、その見返りとして企業のマーケティングにNPOの名前やロゴなどをつかう権利を有するという方法です。
 これにより、企業は、社会や市民に配慮している“企業市民”としての役割をアピールすることができます。
 その企業の顧客は、その企業の商品・サービスを買うことによって、社会貢献ができます。
 NPOは、財政支援をうけるだけでなく、企業のもつマーケティングのノウハウをまなんだり、その企業の広報宣伝力を活用することができます。
 企業は、財源に余裕があるから寄付金をだすというのではなく、一方のNPOは社会貢献をしているのだから寄付をくださいというのではありません。両者がパートナーをくむことが重要です。ただし、NPOは、企業に対して、このような提案ができるだけの能力を身につける必要があるでしょう。
 

  フィールドワークにより、地形を読み、すすむべき道を見いだす

 ヒマラヤ保全協会の事業地(フィールド)は、山あり、谷あり、川あり、平地ありで、その地形は非常に変化に富んでいます。ヒマラヤほど変化に富んだ地形をもつ地域は他になく、そこでのフィールドワークは特別な体験を生み出します。
 フィールドワークとは地球の表面をあるいていくことです。このとき重要なことは、どのような地形の中のどこの道をあるいたか、その軌跡を地形と道に注目して綿密にとらえることです。地形と道が明確にイメージできようになるとフィールドワークの体験はとても奥深いものになります。
 ヒマラヤに行ってフィールドワークをおこなわなくても、今までに、どのような土地をあるいてきたかをふりかえってみることは有用です。
 上り坂や下り坂はあったか。山越えをしたことがあるか。川をわたったことはあるか。障害物はあったか。落とし穴に落ちたことはあるか。道は一本道であったか。バイパスはあったか。道はどこへむかっていたか。危険や不安はあったか。あるきやすかったか。一緒にあるいた人はいるか。
 このようなことをふりかえって、フィールド(現場)の体験をふかめておくとよいでしょう。
 発展途上国のフィールドに入ると、現地の状況に自分をあわせなければならず、環境への適応がもとめられます。現地の状況の展開に応じて、自分のストーリーも決まってくるのであって、その逆ではありません。このようなときにもフィールドワークは重要な役割を果たします。
 フィールドワークで一番重要なことは、地形を読み、すすむべき道を見いだすことです。
 このようなフィールドワークの体験は、それがそのままプロジェクトの推進や問題解決のために役立ってきます。多様なフィールドワークをたくさん経験している人ほど、プロジェクトや問題解決を力強くすすめることができるのです。
 地形を読み、すすむべき道を見いだすということは、状況を把握し、解決策を実行することにほかならないからです。

  人々の活動の「舞台」を知らなければならない

 ヒマラヤには急峻でダイナミックな地形がどこまでもひろがっています。地形は、地域の表面の形態であり、そこで暮らす人々の活動の「舞台」です。それは、地球表面での様々な自然の働きによって形成された生成物としてどこまでもひろがっています。同時に、世界の屋根・ヒマラヤのうつくしい風景の土台となっています。
 ヒマラヤの人々は、このダイナミックな地形にみずからの活動をきざんで暮らしてきました。地形は、そこで暮らす人々をとりかこむ環境のもっとも基礎的な枠組みあるいは基盤となっています。地形を知ることは、環境の保全や創成、土地利用や防災、さらに雄大な風景にひそんでいる自然史を読み解くためにまず最初にしなければならないことです。

(参考文献)『日本の地形 東北 –典型的な島弧の地形-』(東京大学出版会)

  世界の山岳氷河の融解速度が加速している -UNEPが警鐘-

 国連環境計画(UNEP)は、世界の山岳氷河の融解速度が加速していると警鐘をならしました。
 「氷河量の減少は、05年が水当量換算で0.5メートルだったのに対し、06年は約1.4メートルとなっり、また、80年からの氷河量減少総量は水当量換算で10.5メートルを超える」(注)そうです。
 水当量換算1メートルは、氷の厚さ1.1メートルに相当するので、80年以来、氷河は11.55メートル薄くなったことになります。

(注)「加速する山岳氷河の融解 -UNEPが警鐘-」緑の地球Vol.18-2、財団法人国際緑化推進センター。

  日本の「里山」は「生活林づくり」のための参考になる

 世界的なサル学者の河合雅雄さんは、「里山は簡単に言えば、人間に役立つように維持管理されている低山帯のことです。そして人間に役立つという部分は、その時代ごとに変化していきます」(注)と言い、里山の意義を時代に合わせて再形成し、森林を文化資源としてそだてることを主張しています。
 日本の「里山」の取り組みは、ヒマラヤでの「生活林づくり」をすすめるうえでも大変参考になります。

(注)「日本人には森林そのものを楽しむ文化がない、遊んでいる里山を『遊び場』としての里山にしよう」ぐりーんもあ、2008春Vol.41、財団法人国土緑化推進機構。

  ネパールにあたらしい風がふく -制憲選挙はマオイストが圧勝-

宮原巍さん 2008年4月10日のネパール制憲選挙に出馬して落選した宮原巍さん(74)の報告会が東京で開かれました。
 各政党の当選者数の報告(以下)があり、今回の選挙はネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)が圧勝、「ネパール会議派を率いる一族は全員落選し、統一共産党のトップ5人も落選。著名な政治家のほとんどが当選することはありませんでした。これを見るかぎりでは、新しい風が吹きました」との話でした。
■制憲議会党別当選者数
1 マオイスト      比例代表100 小選挙区120 合計220
2 ネパール会議派    比例代表073 小選挙区037 合計110
3 統一共産党      比例代表070 小選挙区033 合計103
4 マデシ人民フォーラム 比例代表022 小選挙区030 合計052
5 タマ・ロパ(タライ) 比例代表011 小選挙区009 合計020
6 その他        比例代表059 小選挙区011 合計068

合計               335     240 総計575

※このほかに、新内閣による氏名議席26があるので総議席数は601となります。

 今後、国会ではあたらしい憲法を制定し、王制を廃止、共和制へ移行することを可決することになっています。マオイストは約4割ほどの勢力であるため、連立の相手をさがすことになりますが、統一共産党は参加しないことを表明しました。ネパール会議派は条件次第では参加の可能性を否定していません。
 また、2〜2年半後には普通選挙を実施することになっています。宮原さんはふたたびチャレンジされるそうです。

  地球の森林は毎年、九州・四国ほどの広さ約600万ヘクタールずつ消失している

 財団法人緑の地球防衛基金発行『緑の地球新聞』が創刊100号をむかえました(注)。
 その特集号で、「地球の森林は毎年、九州・四国ほどの広さ約600万ヘクタールずつ消失している」ことが記載され、今こそ、緑の保全についてじっくりかんがえ、行動するときであることが主張されています。
 緑の保全についてじっくりかんがえるために近年重要視されているのが「地球温暖化」です。1997年に京都で決議された「京都議定書」により、1990年比で温室効果ガスを2008年から2012年の5年間で、先進国全体で5.2パーセント(日本は6パーセント)削減することが約束されました。温室効果ガス(二酸化炭素)は森林に吸収されるので、「地球温暖化」対策のために森林の果たす役割は非常に大きいです。
 ヒマラヤ保全協会は、このような「かんがえ」も踏まえ、今後とも「行動」していきます。

(注)『緑の地球新聞』財団法人緑の地球防衛基金、2008年4月。

  ロープライン・プロジェクト、植林プロジェクトから生活林づくりプロジェクトへすすむ -森林保全事業のあゆみ-

プロジェクト実施期間一覧表 ヒマラヤ保全協会のウェブサイトの「森林保全事業のあゆみ」(年表)を更新しました。
 ヒマラヤ保全協会は、1974年に、前身のヒマラヤ技術協力会を発足させて以来、おもに以下の6つのプロジェクトを順次おこなってきました。

(1)P&Rプロジェクト(パイプライン&ロープライン・プロジェクト)
(2)第2次シーカ・プロジェクト(シーカ谷)(第2次ロープライン・プロジェクト)
(3)アンナプルナ総合環境保全プロジェクト
(4)チトレ森林保全計画(チトレ村)
(5)植林プロジェクト(キバン-ナンギ地域)
(6)生活林づくりプロジェクト(ナルチャン・サリジャ地域)

 上記各プロジェクトの実施期間を上にしめした表にまとめました。
 2008年3月、12年間つづけてきた(5)「植林プロジェクト」(キバン-ナンギ地域)を終了しました。終了時事業評価により、これまでに約72万本を植樹、のべ約1500ヘクタールの面積(東京都の渋谷区に匹敵する面積)の森林を再生したことを確認しました。各村の苗畑は各村にハンドオーバーし、今後は、各村の森林委員会の指導のもと、住民みずからが森林の維持・管理・計画的利用をおこなっていくことになります。
 ヒマラヤ保全協会のプロジェクト地域は、最初のシーカ村を起点とし、シーカ谷、キバン-ナンギ地域、ナルチャン村およびサリジャ村へと、拡大また移動してきました。現在は、カリガンダキ側西岸域に新プロジェクトをおこすべく現地調査をおこなっています。
 プロジェクト地域の移動とともに、プロジェクトの内容(方法)も、第1期「ロープライン・プロジェクト」、第2期「植林プロジェクト」、第3期「生活林づくりプロジェクト」と変化してきました。
 これからは、現在進行中の(6)「生活林プロジェクト」を着実に推進し、住民の生活基盤を形成する「生活林」を積極的につくりだし、住民が、今まで以上に主体的に参加できる森林保全・環境保全活動を一層すすめていきたいとおもっています。

表:プロジェクト実施期間一覧

  2007年度の活動と今年の抱負をのべる -ヒマラヤの自然をまもる活動-

 解説
 株式会社オーエムシーカードは、同社の「地球にやさしいカード」を通して、ヒマラヤ保全協会の「ヒマラヤの自然を守る」活動を長年支援しています。「地球にやさしいカード」は、カード利用額の0.5パーセントを、お客様の負担なしで、株式会社オーエムシーカードが、ヒマラヤ保全事業のために寄付をする「社会貢献型クレジットカード」です。社会貢献型クレジットカードの寄付額としては業界最大です。
 同社は、本年も、そのウェブサイトをリニューアルすることになったというので、先方の質問にこたえる形で下記の原稿を提出しました。

森林が再生された事業地(シーカ谷) A. 昨年1年間の目標、活動テーマをおしえてください。
 ヒマラヤ保全協会は、「ヒマラヤの自然をまもる活動」として森林再生・森林保全を中心とした自然環境保全活動をおこない、ヒマラヤ地域の緑化、水源確保、野生動物の保護、土砂災害の防止などとともに、森林資源の供給により地域住民の生活をうるおすことをめざしてプロジェクトをすすめています。
 昨年の活動テーマは「生活林づくり」、目標植樹本数は5万本でした(注)。
 「生活林」とは、単に木材を生産するだけではなく、薪・家畜飼料・食品・薬品の生産、土壌保全機能など、住民が生活していくうえで重要な機能をかねそなえた森林であり、住民の最も重要な生活基盤となる森林のことです。森林は本来、木材などの生産の場であるとともに、下草の刈り場や肥料となる落ち葉集めの場であり、また、田畑や飲料水の水源でもありました。公益的機能を失わずに森林資源を開発できる「生活林」をつくることにより、自然環境と住民の生活を調和させ、森林と人間とが持続的に共存していく道をひらいていくことができます。

B. 昨年1年間の活動内容を具体的におしえてください。
苗畑と苗畑管理人(ナルチャン村) ネパール中西部において、現地住民と協力して、5万5千本(注)の苗木をそだて、植樹しました。ハンノキやマツを中心に、飼料木や果樹も植えました。
 苗畑を持続的に運営し、永続的に森林保全ができるように、村に森林委員会を組織し、苗畑管理人を養成し、苗木育成、植樹、森林管理、森林経営などに関するワークショップもおこないました。
 また、1996年に開始した植林プロジェクト(キバン-ナンギ地域)を終了し、これまでに約72万本を植樹、のべ約1500ヘクタールの面積(東京都の渋谷区に匹敵する面積)の森林を再生したことを確認しました。

C. 昨年の成果、それを踏まえた今年の抱負をおしえてください。
 ヒマラヤ地域の緑化、水源確保、野生動物の保護、土砂災害の防止などがすすんで自然環境が保全されるとともに、森林資源の供給により地域住民の生活がうるおうという成果が生じました。
 私たちの活動は、環境保全、森林利用、地域の活性化を有機的にむすびつけ、環境保全と環境利用を同時に推進するので、森林と人間との間の循環システムを構築し、自然環境と地域社会を調和させる効果があります。
 ヒマラヤの山岳民族は、森林の中に入り込んだ生活をしており、その暮らしは森林資源に高度に依存しています。そのため、単に木を生産するだけではなく、地域住民の生活を積極的にうるおす「生活林づくりプロジェクト」は、森林保全活動に地域住民が主体的に参加する仕組みでもあります。これは、住民みずからがみずからの森をそだてるといった取り組みであり、住民が主体的に参加しながら、持続的継続的に、自然環境を再生・保全していくプロセスです。
 ヒマラヤ保全協会は、これまでの成果を踏まえ、この「生活林づくりプロジェクト」を今後とも着実にすすめ、住民が主体になった環境保全活動をうみだし、ヒマラヤの自然をまもる活動をさらに推進していきます。

写真(左上):植林プロジェクト(キバン-ナンギ地域)により森林が再生された事業地(シーカ谷)
写真(右下):苗畑と苗畑管理人(ナルチャン村)

(注)「植林プロジェクト」(キバン-ナンギ地域、既存プロジェクト)と「生活林づくりプロジェクト」(ナルチャン・サリジャ地域、新プロジェクト)の合計。

> ご協力をお願いします!オーエムシーカード「ヒマラヤの自然を守る」申込み

  2008年3月、「植林プロジェクト」(キバン-ナンギ)地域を終了する

 1990年代、ネパール・ヒマラヤの山村では、人口急増とともに住民による森林伐採がすすみ、土壌流出、土砂災害の多発、水質悪化、野生動植物の減少などがひきおこされ、ヒマラヤの自然環境は急激に破壊されていました。そこで、森林破壊が著しいキバン-ナンギ地域において森林を再生し保全する活動がはじめられました。
 空からヒマラヤをながめると、今や大半の森林が消失してしまっていることに気づかされます。世界の屋根・ヒマラヤは、世界最大の標高差による幅広い気候帯をもち、地球上で最も多様性に富んだ自然環境を生みだしています。このヒマラヤの貴重な大自然を人類の財産としてまもっていくことは、私たちに課された大きな使命なのです。
 ヒマラヤ保全協会では、ヒマラヤの山村において現地住民の協力のもと、1996年から、苗畑での苗木の生産、ボランティアによる植樹をおこない、12年間で、723,718本を植樹、約1,500ha(東京都の渋谷区に匹敵する面積)の森林を回復させました。12年間の植樹実績は下記の通りです。

1996年 49,594本
1997年 71,703本
1998年 76,813本
1999年 72,395本
2000年 80,341本
2001年 45,312本
2002年 47,074本
2003年 47,729本
2004年 51,611本
2005年 50,463本
2006年 73,252本
2007年 57,431本
合 計 723,718本

 この活動を通じて、現地住民にとって森林を保全し自然環境を守ることは、自分たちの生活を豊かにするという理解を促進し、この住民の大きな意識改革により、現地住民と協力して事業をすすめれば、自然を再生させ、かつ持続的な環境保全が実現できることを示すことができました。

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