ネパール・ヒマラヤ・国際協力

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ヒマラヤ保全協会事務局長

管理人  [ ヒマラヤ保全協会事務局長 ]

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  ポカラのゴミ処理には問題が多い -IHCエコ・プロジェクト-

pokhara 環境コンサルタントで当協会理事のSさんが、ヒマラヤ保全協会ネパール・スタッフのリル=プンさんとともにポカラおよびその周辺のゴミ処理事情のフィールドワークをおこないました。以下は、S理事からの報告です。


 ポカラにて、ポカラ市のゴミ集積場の視察、ACAP及び市役所においてゴミ処理について話を聞いてきました。

● ACAP(話し手:Shiva Deukota, ACAP)
・ 2008年9月ごろからACAPエリアではプラスチックボトル・ガラスボトルが禁止される。ACAPの各オフィスから安全な水をホテルやレストランに配ることになる。ビール瓶も禁止で缶のみに。
・ ゴミの収集はまず各地のACAP支所に集められ、プラスチックや錫、鉄などが分けられポカラ市内各地にある収集所に送られる。ポカラにはそういう収集所が沢山ある。ポカラに集められたゴミはインドに持っていかれる。(後述ポカラ市内ゴミ置き場も参照)
・ ACAPはこのようなゴミ処理システムでACAPエリア全域をカバーできる。特にSikles地域がよく管理されている。
・ ACAPは住民に対し意識を高める活動をしている。セミナー開催やマネージメントなど。
・2012年までに政府から全(ACAP)エリアでのマネージメントがACAPに任され、その後このシステムは地域共同体(VDC)に受け渡される。

ACAPに対するIHCNのコメント
・ マオイスト活動が盛んだったころは手が出せなかったはず。
・ 彼らは嘘を言う。単なるプランでしかない。プラスチックボトル禁止の件もできっこない。数年前に同じことを彼らから聞いたが、彼らの姿を現地で見たことはない。
・ 彼らの話はビジネストークであり、ビジターから多額の金を取ることしか考えていない。彼らは何もしていない。

● ポカラ市ゴミ集積場(Sanitary Land Field Site)視察
・ 場所はポカラ市外南方のセティ河畔。
・ 周りはなだらかな田園風景。
・ サイトは学校の野球グラウンドくらいの広さ。片隅に明らかなゴミの山。他の場所は一見すると土の地面。
・ セティ川面は広い河岸段丘のため見えず。数十〜百メートルは離れている?
・ グラウンドの土に見える場所も古いゴミの上に薄い土や砂がかぶっている状態。
・ ゴミ堆積層からは汚水が流れ出ている。
・ 新しいゴミの山では数人の人達がリサイクルできるものを漁っている。

リルさん及び周りの人々から聞いたこと
・ 流れ出ている汚水は浄化施設に通され、そのあとセティに流れ込んでいる。
・ これらのゴミはポカラのみから集められている。
・ 集積サイトはこの一箇所のみ。
・ 五十年ほど前から使われている。(※要確認)

 また、ナルさん談では、このようなゴミ集積サイトをもっている自治体はポカラとカトマンズのみであり、他の町はもっておらず、バグルンやベニはカリガンダキ川辺に投棄している。これらは特に雨季に下流に流される。

● ポカラ市内のゴミ置き場
・ACAPの話ではポカラ市内に山岳地域から持ってきたゴミを集める場所があるとのこと。その場所二三点をACAPに地図に示してもらうとIHCN事務所近くにもあった。この場所とその付近のゴミ置き場を視察。
・ ACAPの示したゴミ置き場の場所を含め、IHCN事務所から五分ほど歩くうちに三箇所ほどゴミ置き場があった。

以下リルさん談
・ これらはACAPのゴミ置き場ではなく、個人(private)の収集場所である。
・ 彼らは周囲からリサイクル可能なもの(プラスチック、ガラスビン、鉄など)を集めている。
・ ガラスビンは一個1ルピー50パイサ、ビール缶は2ルピーで彼らは買い取る。
・ それらをまとめてインドに売っている。

● ポカラ市役所(話し手:Sushil Poudel, PokharaSub-Metropolitan City Office)
ポカラ市内のゴミ収集について
・ ゴミの分別は行っていない。
・ 住宅街ではdoor to door の収集をしている。収集車が道路を通りながら合図をすると、住民が家からゴミを持って出てきて渡すシステム。ビジネス街では集積場を設けている。
・ 湖への排水は不法である。
・ Sanitary Land Field Site(上記のセティ河畔)はポカラのゴミが最後に行くところ。三年半前から使っている。
・ このサイトの汚水は浄化されている。
・ サイトでリサイクル品収集している人たちは自分たちの金稼ぎのためにやっている。市が推奨しているわけではない。
・ (市内にプライベートでリサイクルゴミ収集している人々がいることを話すと)そんな人達はいない。そんなことを話したのは君が初めてだ。
・ ゴミを捨てないように市民に働きかけている。ミーティングなど。
・ (市内のセティ渓谷の切り立った崖の面に大量のゴミが張り付いていることに言及すると)その場所のゴミを収集する作業は危険すぎて難しい。
・ (市内交差点プリティビチョーク付近のゴミの山に言及すると)収集は難しい。以前に収集したことはあるが、すぐにまたゴミが捨てられる。
・ (山岳部の村で処理できなくなったゴミをポカラに持ってきて処理できるかを聞くと)輸送コストがかかりすぎて不可能。もしどうにかしてもってこれたとしたら、そのときにコスト受け持ちの配分を含め協議の上、Sanitary Land Field Siteにもっていくことができる可能性はある。

 以上のように、各所で話が食い違うことがあります。各機関の方々は皆さん親切丁寧な受け答えをして下さいました。

私の理解するところでは
・ACAPは山岳地域でゴミ収集しているというが怪しい。していたとしてもポカラ市内のプライベートのゴミ収集業者に投げて(売って?)いる。
・ポカラでは、市のゴミ収集とプライベート業者の収集がある。市はそれを必ずしも把握していない。
・プライベートの業者はリサイクル可能なものを選び取ってインドに売っている。


  S理事がポカラに到着する -エコ・プロジェクト-

 S理事(環境コンサルタント)がポカラに到着しました。本日より6日間、ヒマラヤ保全協会ネパール・スタッフとともに、環境問題の現状把握をしながら、「エコ・プロジェクト」(ゴミ処理・観光ルート美化活動)にとりくみます。

  「IHCエコ・プロジェクト」の概要を協議、今年度事業の見通しを得る

Tatopani2.jpg 「IHCエコ・プロジェクト」の環境専門家のW理事が帰国しました。今回は、本年度第1回目のネパール派遣で、事業地のタトパニとナルチャンを訪問し、IHCのプロジェクトの概要(生活ゴミ委員会の設立、環境教育ワークショップの実施、ゴミ箱の整備とゴミピットの建設)を協議し、今年度の事業の見通しを得ました。
 以下は、W理事からの報告です。

(1)タトパニ
 タトパニに到着した7月4日、まず宿泊先のホテルのオーナーに今回の事業計画を説明し、協力していただく了解を得た。そして翌5日朝、タトパニ全体から18名の村人に学校に集まっていただき理解を求めた。その結果、タトパニは50強の世帯数の小さな村ではあるが、ベニ側の9区とジョムソン側の1区とで状況も異なることから1区と9区とで個別に検討することとなり、9区15名、1区32名の参加者を得て検討を行った。その結果疑問点・反対意見などはあったが、大勢としては賛同を得ることができた。ただし、二人のキーパーソンが不在だったことから、8月のS理事の訪問に向けて、交渉を継続することになった(交渉はIHC Nepal)。

<主な疑問点・反対意見>
・ポスターが配布されても、行動が定着しない。
・タトパニは小さな村で共有地も少なく、ゴミ集積場を設置する場所が限定されている。すぐに集積場を掘る場所がなくなる。
・ゴミ集積場がいっぱいになったら、次の集積場を設置する費用は出るのか。
・ゴミの収集は本来、お金を払って人を雇ってやるべきだ。そのお金は出るのか。

<タトパニのキーパーソン>
a)デベンドラ・バトチャン(トレッキング・ロッジのオーナー、ソーシャル・ワーカー)
b)ブワン・ガウチャン(ダウラギリ・ロッジのオーナー、温泉管理委員会委員長)
c)アニール・ヒラチャン(カマラ・ロッジのオーナー、学校運営委員会委員長)
d)アトマ・トゥラチャン(ホテル・ヒマラヤのオーナー、ヘルスポスト支援委員会委員長)
e)ドシュラッタ・コモチャラ(赤十字地域委員会委員長)
f)ソム・プン(ソーシャル・ワーカー)
g)シャン・ブラ・ロノ(ソーシャル・ワーカー)
h)バシェドラ・バトチャン(母親グループ代表、トレッキング・ロッジのオーナー夫人)
i)デワル・クマリ・カルマヤリャ(母親グループ代表)
j)シャンティ・ガウチャン(母親グループ代表)

 ブワン・ガウチャンとアニール・ヒラチャンが不在。この二人が最重要人物との情報もあるが、タトパニには明確な村長などは存在しない模様。

<現在のゴミの投棄場所>
・1区:ヘルスポスト向かいの斜面および川沿い
・9区:学校の下流側の斜面および川沿い

 ただしガラス瓶については、ビール・コーラ類Rs1/本、アップルブランディ用Rs2/本で売却できるので、投棄はしない。また金属なども売却可能なものがあるのでそれらも投棄しない。(回収業者の名前と連絡先は調べて教えてもらうことになっていたが、お互いに忘れてしまい、不明)

<カリガンダキ川沿いの道路建設の影響について>
 タトパニの人々は、観光客が減少するので悪影響と考えている。さらにACAPがタトパニ・ジョムソン間のトレッキング・ルートを新たに作ることを考え始めており(まだF/S前)、さらに観光客が減少する懸念がある。

(2)ナルチャン
 ナルチャンについては、現在森林保全事業が実施されていることからその事業に関する会合の場などを通じすでに事業の概要が伝えられて合意があった。今回は10名の村人に集まっていただき、再度説明し、生活ゴミ委員会の設置(メンバー構成など)や8月のワークショップなどについて検討した。


  ネパール人をスポイルしないことが重要である

 NPO法人 山の自然学クラブ主催の講座「ネパールにおける自然保護活動の現状」(講師:宮原巍さん)が開催されました(会場:環境パートナーシップ)。
 宮原さんは、ヒマラヤ観光開発株式会社の社長で、先のネパール制憲選挙に立候補されました。
 宮原さんは、40年前にヒマラヤに魅せられ、エベレストの見える3880mの丘にホテルを建てることをおもいたち、建設にあたっては、自然保護と環境による地域の発展を問題にしたそうです。
 また、海外からの援助により、ネパール人をスポイルしてしまっている(甘やかしてだめにする)ケースが多いので、そのようなことがないよう援助は慎重におこなわなければならないことが議論されました。

  Google Earth をつかえばヒマラヤを簡単に鳥瞰できる

 Google Earth をつかうと、ヒマラヤの3D画像を簡単に無料で見ることができます。これは、Google Earth 4.3をダウンロードしてつかいます。衛星画像・地図・地形を見事にとらえることができ、ヒマラヤがいかにダイナミクスに富んでいるかよくわかります。見るアングルも自由にえらべます。マウスホイールをつかって、視点を上下に移動させるヘリコプター・ビューもできます。地形を強調して表示させることも可能です。
 このように、Google Earth はヒマラヤを自在に鳥瞰することを実現しました。一方で、世界でもっとも変化にとむ地形をもつヒマラヤでつかってこそGoogle Earthの真価が発揮されるということもいえます。

> Google Earth

  今後の世界に向かうべき真の国際協力のあり方を身を以って示した -ブータンの農業につくした日本人、西岡京治さん-

 ナショナル ジオグラフィック2008年3月号には、ブータンの農業につくした西岡京治さんが紹介されています(注)。
 西岡さんは、1964年、コロンボ計画(アジア太平洋地域の経済発展を目的とする)の農業専門家として、海外技術協力事業団(現・国際協力機構)からブータンに派遣され、28年間にわたってブータンの農業指導をされました。1980年には、その現実的で持続可能な手法が高く評価され「ダショー」(最高の人の意味)の称号をブータン国王からおくられました。
 そもそも西岡さんは、1958年、川喜田二郎(ヒマラヤ保全協会創設者)がひきいる北西ネパール学術探検隊に隊員として参加、ヒマラヤにみせられたといいます。そして、これからの時代は国際技術協力が重要であると確信し、ブータンに生涯をかけました。
 川喜田二郎は、「西岡君は、今後の世界に向かうべき真の国際協力のあり方を身を以って示した」とかたっています。
 西岡さんは1992年にブータンで急逝されましたが、ともに働いたブータンの人々は彼の遺志をつぎ、立派な農業専門家として活躍しているそうです。

(注)「ブータンの農業に尽くした日本人」ナショナル ジオグラフィック2008年3月号、150ページ、日経ナショナル ジオグラフィック社。

  ブータン難民(ブータンをはなれたネパール系住民)は10万8000人もいる

「ディマルは床のない掘っ立て小屋に座り、ブータンに戻れる日を待ちわびている」(注)。敬虔なヒンドゥー教徒であるディマルは、ブータンで半世紀以上も暮らしていましたが、現在は、ネパール東部の国連難民キャンプで生活しているといいます。
 19世紀から20世紀初頭にかけて、ブータン南部低地に多くのネパール系住民が住みつき、1960年以降も肉体労働や不法移民として多くのネパール人がブータンに流入しました。その後、ブータンのチベット系住民(仏教徒)とネパール系住民(ヒンドゥー教徒)との不和・対立が生じ、ブータンを逃げ出したり退去するネパール系住民が多数でました。ブータンをはなれたネパール系住民は難民となり、現在10万8000人、一人も帰国が許されておらず、ブータンにとどまるネパール系住民も大まかな推計で15万人もいるそうです。
 
(注)「岐路に立つブータン『国民総幸福量』政策の行方」ナショナル ジオグラフィック、2008年3月号、116-138、日経ナショナル ジオグラフィック社。

  「天人合一(自然と人の融合)」の文化生態系がある -中国エコツアーの実践-

 JICA地球ひろば・環境展連続セミナーの第2回として「中国エコツーリズムの現状と課題等」が開催されました。当日は、中国国家林業局・管理幹部学院副院長の方杯龍さんの発表があり、次のことが強調されました。
 「中国の名山『中華五岳』の筆頭である泰山を、世界遺産に登録するために国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会に申請した際、当時の世界遺産の基準である『自然遺産』および『文化遺産』のどちらにも、泰山を含む自然と文化の融合という形に当てはまらず、そのご世界遺産委員会により規定が改正され、既存する2種類に加えて『自然および文化遺産』タイプが設けられました」(注)。
 中国におけるエコツアーの特徴は「天人合一(自然と人の融合)」であり、これは自然と人が不可分のものであることをさし、中国の「大自然」は、千年の時をこえる独特な伝統文化にそめられ、自然と文化は融合していて切りはなすことはできないことをしめしているそうです。
 したがって、中国のエコツアー景観区は、自然景観のみならず文化景観をふくんでおり、そこには「天人合一」の文化生態系があとのことです。
 この「天人合一」の思想は、ネパール・ヒマラヤにおけるエコツアーの実践においても非常に重要です。つまり、自然と人とを分断したものとしてとらえて、その時だけ外側から自然の中に入って行って、また出てくるといったツアーではなく、自然と人とが融合したひとつの世界(システム)をみずから体験してみるとうツアーを企画することに意味があるということになります。
 このような、自然と人が融合した世界(システム)のことを、私たちも「大自然」と呼ぶことにしたいとおもいます。

(注)方杯龍「中国における自然保護区でのエコツアー管理」

  ヒマラヤ植林には4つの効果がある


 解説
 ヒマラヤ保全協会は、2008年度会員総会での議論を踏まえ、キャンペーン「100円で1本の木が植えられます!」を開始することになりました。このキャンペーンをはじめるにあたって、ヒマラヤに植林をすることの効果を説明するために、以下の文章を作成しました。


syokurin_kouka.jpg はじめに
 ヒマラヤでは、いちじるしい人口増加とともに森林の減少がすすんでいます。それは、ヒマラヤで暮らす人々が、生活(薪や家畜飼料の採取など)のため森林を伐採しなければならないからです。森林が伐採された後には荒廃地がのこり、地域の環境破壊が深刻な問題になっています。
 森林を利用し、それを減少(後退)させたのは住民ですが、一方で、住民は森林に依存した生活をしているため、森林が後退することにより住民の生活はくるしくなります。そして住民は、森林伐採を奥地へとさらにすすめ、生活が一層くるしくなるという「悪循環」が生じてしまっています。
 そこで、私たちヒマラヤ保全協会は、森林を再生させるとともに、人々の生活を改善することを目的に植林事業を開始しました。

1.地球温暖化の対策として重要です
 今日、地球環境問題として地球温暖化がクローズアップされています。地球温暖化は、温室効果ガス(CO2)の増加によってひきおこされているとされ、その削減が世界的な課題になっています。CO2削減のためには、その排出量を減らすとともに、それを吸収する森林を増やすことが必要です。
 このような意味で、森林減少がいちじるしくすすんでいるヒマラヤにおいて植林活動をすることには大きな意味があり、ヒマラヤの森林は、ヒマラヤだけのものではなく世界へとつながっているのです。ヒマラヤ保全協会は、ヒマラヤ植林が世界でもみとめられるよう努力をつづけています。

2.自然環境を保全します
 地球温暖化対策以外にも、植林活動により様々な効果が生じます。
 たとえば、「森林は緑のダム」と言われるように、森林ができると樹木が土地に根をはり、地下水をはぐくみます。ヒマラヤは南アジアの水源として重要であり、森林は、その水資源を涵養するためになくてはならないものです。また、雨季の豪雨のとき、樹木の枝葉がクッションとなり雨滴が表土に直接あたらなくなるので、土壌流出をふせぐ効果も生じます。
 水資源の涵養、土壌保全のほかにも、動植物の保護による生物多様性の保全、景観の保護など自然環境を保全するための様々な効果が生み出されています。さらに、自然環境の保全は、エコツーリズムの実践といったあらたな価値も生み出しつつあります。

3.住民に森林資源を供給します
 ヒマラヤで暮らす人々は、森林の中に入り込んだ生活をしており、その暮らしは森林資源に高度に依存しています。自然保護だけを目的にするのであれば保護区(保護林)を増やせばよいのですが、それだけだと、ヒマラヤ山村の人々は生活していけなくなってしまいます。
 たとえば、ネパール全体で消費する全エネルギーの70%が薪であると言われています。家庭での調理用、暖房用の他、レンガ製造などの工業用熱源として薪は使用されています。また、山間部では放牧する草地が少ないため、樹木の葉を家畜飼料として人力であつめて家畜に食べさせています。つまり、彼らは、薪や家畜飼料を森林から絶えずあつめないと日々の生活が成り立たないという、森林に大きく依存したライフスタイルをもっています。
 さらに、森林に溜まる落ち葉はやせた畑の肥料としても活用され、豊かな森林は水をはぐくみ畑に農業用水を供給します。ヒマラヤには「耕して天に至る段々畑」があり、この段々畑を支える基盤が森林なのです。
 このように、ヒマラヤの植林活動は、薪・家畜飼料・材木・食品・薬草・堆肥・換金作物・水などの「森林資源」を住民に供給し、住民のもっとも重要な生活基盤をつくることになるのです。

4.住民の生活を改善します
 ヒマラヤの人々は、薪や堆肥、家畜飼料を採取するために長時間の重労働にたずさわることを余儀なくされ、特に女性の健康維持と社会参加、教育を受ける機会の減少など社会的な悪影響が出ています。
 植林により、薪やその他の森林資源を豊富に生み出す森林が集落の近くに再生されると、農業の改善ととともに、住民の社会生活も改善できます。ヒマラヤ保全協会は、住民の生活基盤となる森林を「生活林」と命名し、単に木を生産するだけではなく、地域住民の生活を積極的に改善する努力をつづけています。
 これにより、地域住民が植林活動に主体的に参加するようになってきています。この取り組みは、住民みずからがみずからの森をそだてるといった作業であり、住民が主体的に参加しながら、持続的継続的に自然環境を再生・保全していくプロセスです。
 「生活林」は、人手が入ってこそ健全に保たれる森林ですので、住民の主体的参加があってこそ永続的に森林を保全していくことができるのです。こうして、森林を利用しつつ育てるという仕組みができあがれば、森林と住民の循環的関係が構築され、自然と人間が共生していく道をひらいていくことができます。

▼下記サイトに写真入りで掲載しました。
http://www.ihc-japan.org/support/kouka.html

▼更新しました。
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  ネパール・ヒマラヤは森林減少地域である

 FAO「Countries with large net changes in forest area 2000−2005」によると、ネパールは、年間の森林の減少率が5パーセントを上回る地域(森林が減っている地域)に分類されています。
 一方、日本は、年間の森林増減率がマイナス5パーセント〜プラス5パーセントの間(森林の増減が少ない地域)に分類されています。つまり、日本は、これ以上植林をすすめる地域はありませんが、現在ある森林はよく管理・維持されているということです。
 FAOによると、2000〜2005年に減少した世界の森林は、年平均で約730haであり、これは、1分間につき東京ドーム3個分、1時間では179個分に相当する森林面積が減少していることになるそうです。
 日本国内にあらたに植林をする地域がなくなった以上、発展途上国における植林が重要です。ネパール・ヒマラヤも森林減少地域であり、当事国だけで植林・森林保全をすすめるのが困難な現状を踏まえ、今後、植林・森林保全の国際協力がますます重要になってきます。

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