ネパール・ヒマラヤ・国際協力

〜 住民主体の環境保全 〜 《ヒマラヤ保全協会会員むけのブログです》 [Admin]

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ヒマラヤ保全協会事務局長

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  タトパニでゴミ処理プロジェクトがはじまる -IHCエコ・プロジェクト-

タトパニ ヒマラヤ保全協会の本年度の「エコ・プロジェクト」がはじまりました。今年は、温泉で有名なタトパニと、「IHC山岳エコロジースクール」開催地のナルチャンにおいて実施します。

 2008年7月6日には、環境専門家で当協会理事のWさんと、ヒマラヤ保全協会ネパール・スタッフのリル=プンさんがタトパニに行き、関係者と協議をしました。以下は、リルさんからの報告です。

 2008年7月6日、W理事と私はタトパニ村を訪れた。この訪問の主目的は、ゴミ処理プログラムを行うことについて村人と議論することであり、その結果多くのことがわかった。
 タトパニには3つの異なるTole(Toleとは世帯グループを指す)がある。我々はすべてのToleにおいて別々に話し合いをした。
 Atma Tulachan氏(ホテルヒマラヤのオーナー)が村人との話し合いの場を持つ手助けをしてくれた。村人たちはとても前向きでこのプログラムをよく理解していた。しかし、そのなかの3〜4人はプログラムに興味を持たなかった。彼らはピットを掘りゴミを集めることはしたくなかった。むしろカリガンダキ河岸にゴミを投棄したがった。彼らは、カリガンダキ河岸にゴミを投げすてることをまだこのんでしている。これはこの村にとって深刻な問題である。

 問題:
 ほとんどの者がこの計画が継続して行われていくのかどうかを危ぶんでいる。過去にもベルギーのボランティアによるゴミ処理プログラムが行われたことがある。問題意識の欠如からこのプログラムは村人たちには有効に働かなかった。不幸なことに、彼らはゴミの処理ができず、村を整然清潔に保つことができなかった。村はとても小さいのでピットを掘るための共有地をどうするかという問題がある。しかしこの村のゴミの量は沢山の他のどの村よりも多い。タトパニにすむ人々の60%が他の場所からビジネス目的で移り住んできた者達であり、それゆえ地域活動に彼らの参加を促すことは難しい。

 結論:
 我々の訪問中、多くの人たちは我々の計画をとてもよく理解してくれた。特に地域青年団の何人かやマザーグループはゴミ処理計画に興味を示してくれた。まだ問題はいくつか残ってはいるが、この村でプロジェクトが行うことができると希望をもっている。問題は、他の村人の意識の欠如の結果である。村人たちがこの計画を手伝ってくれることには疑念の余地はないが、作業や工事を実施する前に彼らにもよくわかってもらえるよう努める必要がある。


  ヒマラヤ保全協会の2008年度総会を開催する -キャンペーン「100円で1本の木が植えられます」-

 ヒマラヤ保全協会の2008年度総会を開催しました。のべ33名の方々にご参加いただき、充実した会にすることができました。
 本年は、会員総会プレイベントととして、講演会「ネパール 村人の暮らしと国際協力」(講師:清沢洋)、「サリジャ村の織物プロジェクト」(講師:遠藤昭一)を開催しました。
 会員総会では、本年3月に終了した「植林プロジェクト(キバン-ナンギ地域)」(12年間で約70万本の植樹、約1500ヘクタールの面積の森林を再生)など、現地事業の成果につきましてくわしく報告しました。また、キャンペーン「100円で1本の苗木を植えられます」をはじめることになりました。議案につきましては全会一致で承認されました。
 懇親会では、冒頭に、講談「お竹如来」(江戸時代のリサイクルの話)をたのしみました。

▼下記サイトに、総会によせられたコメント、質疑応答、感想などをアップロードしました。
http://www.ihc-japan.org/event/080705.html

  バラモン教やヒンドゥー教と仏教とのつながりを通して、インド・ネパールと日本のつながりをとらえる

 バラモン教やヒンドゥー教の神々が日本まで伝来して仏教にとりこまれた例は数多くあります。バラモン教やヒンドゥー教と仏教とのつながりを通して、インド・ネパールと日本のつながりをとらえることはとても意義深いことです。
 たとえば、千手観音は、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーに由来するとかんがえられます。千本の手は、どのような衆生をももらさず救済します。
 虚空蔵菩薩は、バラモン教の天神ディアウスに由来するといいます。虚空のように無量無辺の功徳を蔵しています。
 地蔵菩薩は、バラモン教の地神プリディビーに由来します。地球のすべての生き物をそだてる大地のめぐみをあらわします。
 梵天は、バラモン教やヒンドゥー教での宇宙の創造神ブラフマーのことです。
 帝釈天は、ヒンドゥー教のインドラ神が仏教にとりいれられ、仏法守護の十二天のひとつになったものです。
 弁財天は、古代インドの河の神である女神サラスヴァティが仏教にとりこまれました。本来は「弁才天」と書きましたが、財宝の意味をくわえて弁財天と書くようになりました。もともと河の神だったので、池や水辺、島に祀られることが多いです。
 大黒天は、ヒンドゥー教のシバ神の変化身であり、戦闘神でもあり財福の神でもあります。
 このように、バラモン教やヒンドゥー教と仏教を通して、インド・ネパールと日本はつながっているのであり、大きな共通の文化圏を構成しています。この世界では文化的な共鳴がおこっているといってもいいでしょう。

  エコ・プロジェクト、2008年度の現地活動がはじまる -W理事、ポカラ到着-

 環境専門家でヒマラヤ保全協会理事のWさんがポカラに到着しました。今回のミッションは「エコ・プロジェクト」(ゴミ処理・観光ルート美化)であり、ネパール有数のトレッキングルートであるアンナプルナ山麓、特に、タトパニ(ネパール語で温泉という意味)およびその周辺でゴミ処理・環境問題にとりくみます。タトパニは、温泉があるため、非常に多数のトレッカーがおとずれ、当然、ゴミがたくさん排出されて環境問題がクローズアップされています。
 Wさんは、ヒマラヤ保全協会ネパール・スタッフのリル=プンさんとともに、7月5日にポカラを出発、10日間にわたり現地活動をして、7月15日にポカラにもどる予定です。

  エベレストの登頂など、もう一つの挑戦に比べれば取るに足らない -エドモンド=ヒラリー卿-

「エベレストの登頂など、もう一つの挑戦に比べれば取るに足らない。その挑戦とは、ネパールで暮らす、私のシェルパの友人たちの生活を改善し、ヒマラヤの文化と美しさを守ることだ」(エドモンド=ヒラリー卿)
 『極限に挑む』(ナショナル ジオグラフィック 冒険・探検写真集、日経ナショナルジオグラフィック社、2007年)には、地球を解き明かす“未踏の世界”への挑戦の記録が現地の写真とともに解説されています。これを見ていると、世界最高峰エベレストが、北極、南極につく第三の極限であり極地であることがよくわかります。世界の探検家たちは、命をかけて極限あるいは極地をめざしました。エベレストでは男女あわせて186人が亡くなっています。
 エドモンド=ヒラリー卿は、その後、シェルパ民族を支援するプロジェクトに力をそそぎ、教育や医療の充実に尽力しました。彼は、力と無私の精神・謙虚さをかねそなえた類いまれなる人格者として多くの人々に記憶されています。

  保護林と生活林の間に一線をひき、役割分担を明確にしていく

「ネパールにある森林の20パーセントは既に国立公園や保護区に指定されている。これらの森の生態系を保護することは重要だが、いたずらに村の森を保護区とすることは控えなければならない。(中略)森林利用グループが管理する森では、一定の環境基準を遵守しているかぎり、伐採を含め森林利用を制限すべきではい」(注)。森を守ることと、人々の生活を守り村の発展をかんがえることは不可分であると主張されています。
 自然保護だけを目的にするのであれば保護区(保護林)を増やせばよいのですが、それだけだと、ヒマラヤ山村の人々は生活していけなくなってしまいます。彼らは、森林に大きく依存したライフスタイルをもっているからです。
 ヒマラヤで森林保全事業をすすめていく場合、保護林と利用できる森、このジレンマはどこかで解決しなければなりません。
 そのためには、両者の間のどこかに一線をひき、役割分担を明確にしていく必要があるでしょう。保護林では、生物多様性の保全、原種の保護といったことが目的になりますが、村人が利用できる森では、木をそだて森をまもってこそ自分たちの生活が改善されていくといった、利用してこそ まもられるという仕組みをつくることが必要です。
 結局、総合的・長期的にこの課題をとらえて、森林がこれ以上破壊・後退することなく増えていくようにすることがもとめられます。未来にむかって問題を解決していくことこそ重要です。
 ヒマラヤ保全協会では、一定のルールのもとで村人が利用できる森のことを「生活林」と呼んでいます。

(注)久保英之著『アジアの森と村人の権利 -ネパール・タイ・フィリピンの森を守る活動-』現代書館、2003年。

  住民が主体的に参加する森林保全事業は、地球温暖化の緩和策としても重要である

 地球温暖化を緩和するための緩和策として、森林によるCO2(温室効果ガス)吸収が重要であることは、現在ではひろく知られています。樹木は、数十年から数百年にわたってCO2を吸収し、炭素を体内にたくわえつづけます。
 IPCC第4次評価報告書では、森林・木材による温暖化緩和策として、「1. 森林面積の維持・増加、2. 個別森林レベルでの森林蓄積の維持・増加、3. 景観レベルでの森林蓄積の維持・増加、4. 木材製品の活用」をあげています。ここで注目すべきことは、CO2を吸収させるために森林面積を増加させるだけでなく、同時に、森林によるCO2吸収・蓄積を減少・劣化させないように、森林を健全に維持・管理することが強調されているということです(注)。
 つまり、森林は再生させるだけでなく、できあがった森林をいかにうまく まもっていくかということが重要だということです。
 このような観点からいっても、ヒマラヤ保全協会が長年おこなってきている、住民の主体的参加による植林・森林保全事業には大きな意義があります。つまり、私たちの仕事には、植林をして森林を増やすだけでなく、一度できた森林が、地元の住民みずからの手でまもられていく仕組みができあがっているからです。これは、苗木をそだて荒廃地に植える初期段階から、住民が主体的に事業に参加するようにしているからできるのであり、これによって持続的・永続的な森林保全が可能になるのです。これが私たちが主張する「住民主体の森林保全・環境保全」の実践形態にほかなりません。
 このように、ヒマラヤ保全協会の植林・森林保全事業は、地球温暖化緩和策としても大きな意味をもつようになってきています。

(注)松本光郎「森林による二酸化炭素の吸収」科学, 78(特集 温暖化への対応 日本のテクノサイエンス), 536-539, 岩波書店。

  海外就労者が増えつづける -ネパール-

 「海外就労者からの送金額は、2005/06年度の7ヶ月間だけで534.6億ルピーに上り、対前年比48.2%の増加となった」(注)。海外就労者からの送金は、いまや貿易赤字(2005/06年の8ヵ月間で741.7億ルピーの入超)を補填するうえで無視できない比重を占めるといいます。
 海外就労(インドをのぞく)は一貫して増えづづけ、2004/05年度末までに正規の許可を得て海外で就労している人数は59万1400人にのぼり、2005/06年度の8ヵ月間だけでも12万3279人が就労目的で出国しています。
 ネパールの海外就労者は今後とも増えつづけるのではないでしょうか。

(注)水野正己著「2006年のネパール 第2次民主化運動と国王政治の終焉」アジア動向年報2007、514-530ページ、アジア経済研究所

  平均732万ha(北海道とほぼ同じ面積)の森林が毎年失われている -FAO森林マップ-

「世界の森林面積は、1990年から2005年の間に約3%減少しています。2000年から2005年の間にも平均732万ha(北海道とほぼ同じ面積)の森林が毎年失われています」(注)。
 現在、世界には約40億haの森林があり、陸地の約30%を占めています。FAOの森林マップによると、ネパールは、国土に占める森林面積の割合は、25-35%に分類されています。ちなみに日本は50-100%であり、世界有数の森林国家になっています。
 したがって、今後は、日本国内よりも海外の森林減少地域において植林活動をすすめていくことが必要です。

(注)「FAOの森林マップ 世界の森林面積 2005年」世界の農林水産 FAO News 2008年 SUMMER(811号)、平成20年。

  ユキヒョウは、100年間で激減した

 ユキヒョウの「生息地はヒマラヤ山脈やチベット高原、パミール高原、天山山脈なそ、世界でも指折りの峻険な高山地帯ばかりだ」(ナショナル ジオグラフィック日本語版、2008年6月号)。
 ユキヒョウは、美しい毛皮をねらわれておびただしい数がころされ、現在の生息数は推計4000〜7000頭ほど、実際には3500頭にも満たないと懸念する専門家もいて、100年前の半数以下に落ち込んだといいます。
 1975年以降は、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)に基づいて保護活動がすすめられていますが、密猟は後をたちません。

(注)日本にいるユキヒョウは30頭近く、東京都多摩動物公園では、現在、日本最多の10頭を飼育しているそうです。

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