緑の地球をまもるために -ヒマラヤの自然をまもる活動がつづく-

解説:(財)緑の地球防衛基金 第2回研究・活動報告会「緑の地球をまもるために」が開催されました(注)。当日は、第二部において、ヒマラヤ保全協会が「ヒマラヤの自然をまもる活動」と題して報告しました。以下はその要約です。ヒマラヤ保全協会は、(財)緑の地球防衛基金様ならびに(株)オーエムシーカード様から「ヒマラヤの自然をまもる活動」に対して長年にわたりご支援ご協力をいただいております。ここに明記して感謝の意を表します。
ヒマラヤ保全協会は、「ヒマラヤの自然をまもる活動」として森林再生・森林保全を中心とした活動をおもにおこなっています。この活動により、ヒマラヤ地域の緑化、水源確保、野生動物の保護、土砂災害の防止などが促進されて自然環境が保全されるとともに、森林資源の供給により地域住民の生活がうるおうという効果が生じています。
私たちの活動は34年前からはじまり、その活動は下記の3期に区分されます。
(1)第1期「ロープライン・プロジェクト」
ヒマラヤの山岳民族は、薪・家畜飼料・堆肥などを集落周辺の森林から採取しているため、集落にちかいところから森林は次第に後退していました。森林破壊はいちじるしく、緊急の対策が必要でした。
そこで、集落からとおくはなれた豊かな森林から、計画的に森林資源を採取し運搬するためのロープラインを建設しました。これにより、ともかく森林の後退が停止しました。
(2)第2期「植林プロジェクト」
ロープライン・プロジェクトが一定の成果をあげて余裕が生じたのを機に、苗畑運営と植樹を開始しました。5か村に苗畑を設置、苗木を育成、荒れ地に順次植樹していき、積極的に森林再生にとりくみました。15年間で、約70万本の植樹、約1500haの面積に森林を再生させてきました。
(3)第3期「生活林づくりプロジェクト」
ヒマラヤの山岳民族は、森林の中に入り込んだ生活をしており、その暮らしは森林資源に高度に依存しています。そこで、単に木を生産するだけではなく、地域住民の生活を積極的にうるおす「生活林づくりプロジェクト」をはじめました。「生活林」とは、薪・家畜飼料・食品・薬品・土壌保全機能など、住民が生活していくうえで重要な機能をかねそなえた、住民の最も重要な生活基盤となる森林のことです。具体的には、果樹の育成、森林資源の積極的利用のプログラムなどをくみました。
これにより、森林保全活動に、地域住民が今まで以上に主体的に参加するようになってきました。これは、住民みずからがみずからの森をそだてるといった取り組みであり、住民が主体的に参加しながら、持続的継続的に、自然環境を再生・保全していくプロセスです。
このように、「生活林づくり」は、住民が主体になった環境保全活動をうみだし、ヒマラヤの自然をまもる活動がさらに促進される明るい見通しがでてきました。
写真:放棄された農耕地(左)。土壌浸食がすすみ基盤岩が露出してしまった土地(中)。村人と日本人が協力して植樹をすすめる(右)。
■質疑応答
Q「植樹により、農耕地を森林にもどすこともおこなっているそうですが、農業をいとなむ農家はこまらないのでしょうか?」
A「私たちは、森林伐採によって生じた荒れ地、出稼ぎなどで放棄された農耕地に植樹をしています。現在、農耕がいとなまれている農耕地はそのままにし、農家の人々がこまらないようにしています。ネパールでは、近年、海外へ出稼ぎにでる人々がふえ、放棄されてしまう農耕地が増えています」
Q「『生活林』づくりにとりくんでいるそうですが、森林を再生させることと、住民を経済的にゆたかにすることはどのように調和させていますか? 森林再生と経済発展は相反することが多いので聞きました」
A「ヒマラヤに居住する山村民は、今でも、自給自足の生活をしているため、現金収入を得るという経済的な側面ではなく、彼らの生活そのものをうるおすための『生活林』づくりにとりくんでいます。具体的には、薪や堆肥、飼料木の森林資源を地域住民に十分供給できるようにし、またその運搬にかかる労働を軽減し、住民の生活を楽にするようにしています。ただし、一部では果樹の導入など換金作物の栽培などによる住民の収入向上プログラムもおこなっています」
Q「そのような一定の成果があがるまでに何年ぐらいかかるのですか?」
A「約10年かかります。成果があがるまでに時間がかかるので、当初は、住民の理解が得られるまでに時間がかかりましたが、現在では、すでに成果があがった村々がありますので、その村がモデルになって、あたらしい村々での植林活動は、住民の理解も得られ、やりやすくなっています」
Q「苗畑はどこにつくるのですか?」
A「それぞれの植林地の中心となる村にそれぞれ建設します」
Q「苗畑ではどのような樹種をそだてるのですか?」
A「ネパールハンノキとネパールマツが多いですが、それぞれの地域の標高(気候)に応じて適切な樹種を選択してそだてています。ヒマラヤは標高差が非常に大きいので、低地では亜熱帯、高地では、温帯から高山帯(寒帯)へと気候(環境)が大きく変化します」
Q「地元の人々の主食は何ですか?」
A「標高が低いところから約1700mぐらいまでのところの人々は米、それよりも高地にすんでいる人々はトウモロコシを主食としています。気候により、収穫できる農作物がことなり、また民族もことなります」
Q「植樹により、農耕地を森林にもどすこともおこなっているそうですが、農業をいとなむ農家はこまらないのでしょうか?」
A「私たちは、森林伐採によって生じた荒れ地、出稼ぎなどで放棄された農耕地に植樹をしています。現在、農耕がいとなまれている農耕地はそのままにし、農家の人々がこまらないようにしています。ネパールでは、近年、海外へ出稼ぎにでる人々がふえ、放棄されてしまう農耕地が増えています」
Q「『生活林』づくりにとりくんでいるそうですが、森林を再生させることと、住民を経済的にゆたかにすることはどのように調和させていますか? 森林再生と経済発展は相反することが多いので聞きました」
A「ヒマラヤに居住する山村民は、今でも、自給自足の生活をしているため、現金収入を得るという経済的な側面ではなく、彼らの生活そのものをうるおすための『生活林』づくりにとりくんでいます。具体的には、薪や堆肥、飼料木の森林資源を地域住民に十分供給できるようにし、またその運搬にかかる労働を軽減し、住民の生活を楽にするようにしています。ただし、一部では果樹の導入など換金作物の栽培などによる住民の収入向上プログラムもおこなっています」
Q「そのような一定の成果があがるまでに何年ぐらいかかるのですか?」
A「約10年かかります。成果があがるまでに時間がかかるので、当初は、住民の理解が得られるまでに時間がかかりましたが、現在では、すでに成果があがった村々がありますので、その村がモデルになって、あたらしい村々での植林活動は、住民の理解も得られ、やりやすくなっています」
Q「苗畑はどこにつくるのですか?」
A「それぞれの植林地の中心となる村にそれぞれ建設します」
Q「苗畑ではどのような樹種をそだてるのですか?」
A「ネパールハンノキとネパールマツが多いですが、それぞれの地域の標高(気候)に応じて適切な樹種を選択してそだてています。ヒマラヤは標高差が非常に大きいので、低地では亜熱帯、高地では、温帯から高山帯(寒帯)へと気候(環境)が大きく変化します」
Q「地元の人々の主食は何ですか?」
A「標高が低いところから約1700mぐらいまでのところの人々は米、それよりも高地にすんでいる人々はトウモロコシを主食としています。気候により、収穫できる農作物がことなり、また民族もことなります」
追記:報告会当日は、他の方々からも発表がありました。重要なポイントを以下に追記しておきます。
現在、地球温暖化がすすんでいます。原因はCO2の増加です。IPCCの研究と提言は重要です。ハワイ、マウナロアのCO2観測の例は有名です。CO2増加の最大の原因は森林の減少であり、森林減少は、中南米や東南アジアの熱帯林が顕著ですが、ヒマラヤでも減少しています。森林はCO2を吸収しますので、その減少は温暖化につながります。マウナロアの観測でも、春になると森林がCO2をすうこともあきらかになっています。
森林の減少はCO2の増加をもたらしますので、森林を伐採したら植林をして森林を増やす必要があります。森林は利用しつつ育てるという循環が必要であり、これにより、CO2の増加はおさえられます。ただし、原生林(極相林)はCO2の吸収と排出がほとんど同じ(プラスマイナス・ゼロ)です。
「緑の地球をまもる」活動にとって、もっとも重要なことは「フィールドにこそ真実がある」ということです。フィールドで真に正しい情報をつかみ、フィールドに根ざしてかんがえる。「緑の地球をまもる」活動をつづけている団体はまさにこれを実践しており、今後とも、このコンセプトのもとで活動継続していくこと重要です。
森林の減少はCO2の増加をもたらしますので、森林を伐採したら植林をして森林を増やす必要があります。森林は利用しつつ育てるという循環が必要であり、これにより、CO2の増加はおさえられます。ただし、原生林(極相林)はCO2の吸収と排出がほとんど同じ(プラスマイナス・ゼロ)です。
「緑の地球をまもる」活動にとって、もっとも重要なことは「フィールドにこそ真実がある」ということです。フィールドで真に正しい情報をつかみ、フィールドに根ざしてかんがえる。「緑の地球をまもる」活動をつづけている団体はまさにこれを実践しており、今後とも、このコンセプトのもとで活動継続していくこと重要です。
(注)主催:財団法人 緑の地球防衛基金、後援:株式会社オーエムシーカード。会場:TKP田町ビジネスセンター。
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