ネパール・ヒマラヤ・国際協力

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  サリジャ村に専門家を派遣しました

サリジャ村で指導するEさん写真:村人に指導する専門家のEさん

 ヒマラヤ保全協会は,自然環境を保全しながら、住民の生活改善をすすめ、地域社会を活性化させることを目的として、2005年度からパルバット郡サリジャ村およびミャグディ郡ナルチャン村において、「ネパール山村での生活林造りプロジェクト」を開始しました。現地では、苗畑運営の研修・支援と植林事業をすすめるとともに、森林の持続的利用に関した研修・教育事業もおこなっています。これまでに,森林管理委員会および苗畑管理委員会を設立し、村人が主体になった管理運営を実施してきました。当協会では、10年間の植林と森林経営の確立によって,持続的な森林保全を可能にする計画でいます。
 一方,地域固有の森林資源、現地住民の希望,UNDPによる織物研修の下地ならびに隣村での紙漉・販売の実績があったことから、収入向上事業として織物事業と紙漉事業にあらたに着手しました。サリジャ村は標高が2200mあり、寒さがきびしくて現金収入につながる樹種(果樹)の植林は困難であるため、両事業が収入向上につながると期待されています。さらに、当協会としては,両事業の収益の一部を苗畑の運営費用にまわすことで,支援が終了した後も自立した苗畑経営・森林経営を可能にする計画をもっています。
 「ネパール山村での生活林造りプロジェクト」は、2005年には,地域住民が利用できる「生活林づくり」を目指して、10年間の長期計画と3カ年計画を住民参加により策定し、苗畑を建設しました。
 2006年〜2007年には植林活動を本格的に開始し、地域の森林資源を有効に利用して住民の収入を向上させる計画をすすめました。収入向上計画では、プロジェクト地に自生するロクタ(ネパール語名、ミツマタの一種)を原料に「紙漉」、イラクサ(刺草,ネパール語名:アロ)を原料に「織物」をおこなうこととし、その加工施設の建設にむけて準備をしました。
 さらに,2006年度には、自然資源管理専門家,環境教育専門家,事業企画専門家の3名を現地に派遣し、原料となるロクタやイラクサの資源量を調査するとともに、住民に対して森林保全・環境保全に関する啓蒙活動をおこないました。また、環境を保全しながら自然資源を持続的に利用するために、森林保全・環境保全・苗畑管理・植林・自然資源利用にいたる自然環境管理システム構築に関する指導を実施しました。
 このたび(2007年度)は,過去2年間の活動を踏まえ、森林資源を利用して工芸品を生産販売している工芸専門家(Eさん)と、工芸品販売のための市場調査の専門家(Tさん)の2名を、紙や生地の生産販売による収益事業の具体化に着手するためにサリジャ村へ派遣しました。
 両加工施設(建物)は建設できましたが、現地住民、ヒマラヤ保全協会、現地カウンターパートであるヒマラヤ保全協会ネパールにとって、工芸品による収入向上事業にとりくむのは初めての試みであったので今回の専門家派遣となりました。工芸専門家は、加工工程をチェックして生産体制確立のためのアドバイスなどをし,市場調査専門家は、生産物の販売先や販売方法などについて提案・指導をしました。
 今後の課題としましては、織物・紙漉の作業従事者の技術をさらにみがくとともに、委員会ならびにヒマラヤ保全協会ネパールのマネージメント能力を強化することがあげられます。
 同時に、フェアトレードの具体化にむけて協議をすすめていきます。取引先としては、WSDP(Women’s Skill Development Project, Pokhara)が有力候補ですが、ヒマラヤ保全協会の会員である、ヒマラヤンマテリアル、アミナコレクションとも協議します。基本的には、完成品ではなく半製品をサリジャ村から工場へおろせるようになることを第一の目標にしています。


 Eさんの話を以下に紹介します。

このあたりは、ヒマラヤイラクサ(allo)がたくさん自生している地域で、そのalloを使った製品作りによる地域資源の活用と雇用創出を目的として昨年より織物プロジェクトがはじまりました。
 現在のメンバーは9人、全員女性で、「農作業や家事の合間の時間を見つけての作業なので、効率よくものつくりをするというわけにはいきませんが、仕事をしている最中はものつくりに集中でき、自分自身に向き合うことができる貴重な時間です」と話していました。
 当初、2007年12月の段階で試作品の布を見せていただいた限りでは、正直、品質においては市場に通用できるようなものではなかったので、かなりきびしいなと思いましたが、今回、作り手に会い、道具を見て、仕事ぶりも見せていただいた結果、技術はこの数ヶ月の間にかなり進歩しているようで、特にalloの糸つくりに関しては、ネパール国内に他の地域から流通しているものとくらべてもかなりの高品質で、充分に市場に出しても通用する品質であることを実感しました。
 あとはこの糸を使い、サリジャ村ならではの特色ある製品を作り出すことと、もうひとつは村人や近隣の村のニーズに合わせたものつくりが出来れば「地産地消」による仕事ができて、海外や町に出稼ぎに行くひとたちの割合を少しでも少なくできればと思いました。
 今回のアドバイスにより、意欲を見せてくれた生産者たちが、次回行ったときにどんな製品に仕上げてくれるのかが楽しみです。まだ他の村でも試みていないことなので、もし成功すれば、この村ならではの特産品として付加価値も高まります。
 このalloの織物プロジェクトと天然染料のプロジェクトがかたちになれば、村の資源と伝統技術の保護、それが森林保全の活動につながっていくことを見守っていきたいと思います。
 再度、この年の夏の終わりころ、alloの収穫時期に合わせて訪問してみたいと思います。

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