ビジョンを明確にしてからアクションリサーチに入る
国際協力活動をすすめるにあたって、まず最初にしなければならないことは、ある特定の現地事業を実施しようと決断することです。ヒマラヤ保全協会の場合は生活林づくりをおこなうことを決断しました。次にすることは、その事業を実施した結果として達成された様子をありありと想像することです。つまり、ビジョンを明確にえがくことです。ヒマラヤ保全協会の場合は、ヒマラヤの荒廃地が見事な森林にかわった、その「緑」をありありと想像します。そしてそれから、第三段階目として事業を実施していくのです。ここでは、アクションリサーチを実践します。このように、「決断」→「ビジョン」→「アクションリサーチ」とすすめるのがよくできた問題解決の方法であり、参画型アプローチではこれを実践しています。
これは、将来はよくわからないけれどとにかくやってみようという、下からつみあげていくようなやり方とは根本的にことなります。まず研究をして情勢判断をし、そしてそれを実際に応用してみよういうのともちがいます。それらとはことなり、まず結果を想像して、ビジョンをえがいて、それからさかのぼって結果の前のプロセスを実践していくという方法です。参画型アプローチでは、入門コースでは「決断」をし、中級コースでは「ビジョン」を形成し、上級コースでは「アクションリサーチ」を実践します。ある意味では、ビジョンが本当に明確にえがければ問題の8割は解決できたといってもいいくらいです。
これは、将来はよくわからないけれどとにかくやってみようという、下からつみあげていくようなやり方とは根本的にことなります。まず研究をして情勢判断をし、そしてそれを実際に応用してみよういうのともちがいます。それらとはことなり、まず結果を想像して、ビジョンをえがいて、それからさかのぼって結果の前のプロセスを実践していくという方法です。参画型アプローチでは、入門コースでは「決断」をし、中級コースでは「ビジョン」を形成し、上級コースでは「アクションリサーチ」を実践します。ある意味では、ビジョンが本当に明確にえがければ問題の8割は解決できたといってもいいくらいです。
「多段ピックアップ」をつかえば選択が容易にできる
「高級飲食材店の試食コーナーに、二四種類の色とりどりのジャムを並べたときと、六種類のジャムだけを並べたときとでは、どちらがよく売れるだろうか? 実際の売上げは、品揃えが少ない方が、圧倒的に多かったのだ」(注)。これは、人間は、選択肢が多すぎると選択に苦慮しますが、適当な少ない数(約7だと言われています)だと求めるものをすぐに選択できることをしめしています。
それでは、どのようにして多数のものから少数のものを選択すればよいのでしょうか。そこで有効なのが、参画型アプローチKJ法の中にある「多段ピックアップ」という技術です。「多段ピックアップ」とは、非常に多数の事物から段階的に重要な事物をピックアップしていく技術です。たとえば、最初に100件の情報があったとすると、第一段目ではそれらの中から80件程度をえらびだします。第二段目では、60件程度を選び出します。こうして、第三段目、第四段目、第五段目と同様にピックアップしていけば、たとえば最後に数件の事物をえらびだすことができます。
そもそも選択には、消去法とピックアップ法があります。前者は原点主義、後者は得点主義であり、「多段ピックアップ」は得点主義に基づいています。マイナスイメージでとりくむ原点主義よりも、プラスイメージでとりくむ得点主義の方が成果があがることが経験的にわかっています。
さらに、「多段ピックアップ」では、第一段目、第二段目、第三段目・・・と選択をつづけながら☆印をつけていきますので、結果的に、情報のランキング(重みづけ、評価)ができます。つまり、選択を評価へと発展させることができます。こうして、より重層的で高次元な情報処理を可能にしていきます。
そもそも選択には決断がともなうものですが、「多段ピックアップ」をつかえば決断もしやすくなります。この作業をつづけていると心が整理されてきます。決断ができるためには心が整理されていなければなりません。逆に、決断をすると心が整理される面もあります。
こうして、「多段ピックアップ」の作業をくりかえしていると、「基本的な考えを明確にする→何をするか選択・決断する→ビジョンを明確にする」という問題解決のプラスの流れが自然に生じてきます。
(注)シーナ・アイエンガー著『選択の科学 ーコロンビア大学ビジネススクール特別講義』文藝春秋、2010年1月15日
それでは、どのようにして多数のものから少数のものを選択すればよいのでしょうか。そこで有効なのが、参画型アプローチKJ法の中にある「多段ピックアップ」という技術です。「多段ピックアップ」とは、非常に多数の事物から段階的に重要な事物をピックアップしていく技術です。たとえば、最初に100件の情報があったとすると、第一段目ではそれらの中から80件程度をえらびだします。第二段目では、60件程度を選び出します。こうして、第三段目、第四段目、第五段目と同様にピックアップしていけば、たとえば最後に数件の事物をえらびだすことができます。
そもそも選択には、消去法とピックアップ法があります。前者は原点主義、後者は得点主義であり、「多段ピックアップ」は得点主義に基づいています。マイナスイメージでとりくむ原点主義よりも、プラスイメージでとりくむ得点主義の方が成果があがることが経験的にわかっています。
さらに、「多段ピックアップ」では、第一段目、第二段目、第三段目・・・と選択をつづけながら☆印をつけていきますので、結果的に、情報のランキング(重みづけ、評価)ができます。つまり、選択を評価へと発展させることができます。こうして、より重層的で高次元な情報処理を可能にしていきます。
そもそも選択には決断がともなうものですが、「多段ピックアップ」をつかえば決断もしやすくなります。この作業をつづけていると心が整理されてきます。決断ができるためには心が整理されていなければなりません。逆に、決断をすると心が整理される面もあります。
こうして、「多段ピックアップ」の作業をくりかえしていると、「基本的な考えを明確にする→何をするか選択・決断する→ビジョンを明確にする」という問題解決のプラスの流れが自然に生じてきます。
(注)シーナ・アイエンガー著『選択の科学 ーコロンビア大学ビジネススクール特別講義』文藝春秋、2010年1月15日
ヒマラヤ技術協力とKJ法 -フィールドワークからアクションリサーチへ-
解説
第33回KJ学会が、2010年11月20-21日に東京工業大学で開催されます。今回は、KJ法創始者の川喜田二郎先生追悼記念大会となります。私も発表を依頼されましたので、ヒマラヤ技術協力とKJ法の展開の観点から以下の発表要旨を作成し、学会事務局に提出しました。
第33回KJ学会が、2010年11月20-21日に東京工業大学で開催されます。今回は、KJ法創始者の川喜田二郎先生追悼記念大会となります。私も発表を依頼されましたので、ヒマラヤ技術協力とKJ法の展開の観点から以下の発表要旨を作成し、学会事務局に提出しました。
1.課題
筆者は、ネパール・ヒマラヤにおいて国際技術協力(環境保全活動)に長年とりくんいる。現地での協力活動をより実り多いものにし、同時に、事業地に関する認識をふかめ、地域の未来をつくりだす方法として、アクションリサーチの考え方と技術を検討する。
2.材料と方法
ヒマラヤ保全協会とその前身であるヒマラヤ技術協力会の実践活動を事例とし、その過程で得られたデータ・情報を材料とする。特に、フィールドワークとアクションリサーチの技術・方法に重点をおく。
3.結果と考察
3-1. ヒマラヤ技術協力会の創設
1953年、川喜田二郎先生は、ヒマラヤの高峰・マナスル登山隊の一員として、ネパール・ヒマラヤのマナスル〜アンナプルナ一帯の現地調査をおこなう。その後、次の目標としてヒマラヤのチベット世界を選択し、1958年ドルポへむかう。そのとき、将来、ヒマラヤで国際技術協力をおこなうことを決意する。読売映画社の映画『秘境ヒマラヤ』(西北ネパール学術探検隊の記録/川喜田二郎隊長)には、1958年の現地調査の様子がみごとに記録されている。そして、1963〜1964年、第三次東南アジア稲作民族文化調査団(団長:川喜田二郎)を組織し、ネパール西部シーカ河谷に7ヵ月間滞在してフィールドワークをおこない、国際技術協力の事業地はなるべく奥地で、しかし現実的に実施できる場所としてシーカ河谷を選択し、協力活動をおこなうことを村人と約束する。
その後1970年のプリテストをへて、1974年に、ヒマラヤ技術協力会(ATCHA: The Association for Technical Co-operation to the Himalayan Area)を発足させ、国際技術協力を具体化する。ヒマラヤ技術協力会は、現地住民への愛情と深い現地認識を基盤とするが、その視野はひろくヒマラヤを実践舞台とし、そこからくみあげた教訓・哲学を全世界の僻地農村への協力に役立てることを目指している。同協力会は、その後ヒマラヤ保全協会(IHC: The Institute for Himalayan Conservation)になり現在にいたっている。
歴史的にふりかえってみると、1953年の登山、1958年のフィールドワーク(文化人類学的学術調査)、1974年からの国際技術協力となっており、これらをつらぬく本質はパイオニアワークであり、あらたなフロンティアをたえず切りひらいていく姿勢がここにはある。
3-2. 国際技術協力の展開とヒマラヤ保全協会
私たちの国際協力の課題は、当初から、「ヒマラヤの環境保全をすすめながら、地域住民の生活改善を同時にすすめ、ヒマラヤ山村を活性化するにはどうすればよいか?」ということである。活動は大きく以下の3期に区分される。
(1)第1期「ロープライン」プロジェクト
ヒマラヤ山村民は、薪・家畜飼料・堆肥などを集落周辺の森林から採取しているため、集落にちかいところから森林は次第に後退していた。森林破壊はいちじるしく緊急の対策が必要だった。そこで、集落からとおくはなれた豊かな森林から、計画的に森林資源を採取し運搬するためのロープラインを建設する。これにより森林の後退が停止する。
(2)第2期「植林」プロジェクト
ロープライン・プロジェクトが一定の成果をあげて余裕が生じたのを機に、苗畑運営と植樹を開始する。ネパール西部の5か村に苗畑を設置、苗木を育成、荒れ地に順次植樹していき、積極的に森林再生にとりくむ。12年間で約72万本の植樹、約1500haの面積の森林を再生させる。
(3)第3期「生活林づくり」プロジェクト
ヒマラヤの山岳民族は森林の中に入り込んだ生活をしており、その暮らしは森林資源に高度に依存している。そこで、単に木を育成するだけではなく、地域住民の生活を積極的にうるおす「生活林づくり」プロジェクトをはじめる。「生活林」とは、日本でいう里山に相当し、薪・家畜飼料・食料・薬品・土壌保全機能など、住民が生活していくうえで重要な機能をかねそなえた、住民のもっとも重要な生活基盤となる森林のことである。具体的には、果樹の育成、森林資源の積極的利用のプログラムなどをくむ。これにより、森林保全活動に、地域住民が今まで以上に主体的に参画するようになってくる。これは、住民みずからがみずからの森をそだてるといった取り組みであり、住民が主体的に参画しながら、持続的継続的に、自然環境を再生・保全していくプロセスである。
3-3. フィールドワークからアクションリサーチへ
上記のような国際協力をおこなうにあたっては、フィールドワークによって事業地の状況をしっかり把握することが必要である。そして、一つの事業がはじまってからは、具体的な行動を通して地域に関する理解をさらにふかめ、事業を実りあるものにしていかなければならない。ここに、行動と認識の分かちがたい一体性があり、このようなやり方を「アクションリサーチ」と命名した。
1953年からここまでの歴史を大きくふりかえると、「登山・探検」→「フィールドワーク」→「国際技術協力」→「アクションリサーチ」という流れになっている。「アクションリサーチ」とは世界内的な立場に立って実践と研究とを一体化し、実践の過程を通してえられる多種多様多量な現場情報を統合・体系化し、よくできたアウトプットをだすことができる方法である。
私たちの国際協力事業では次のステップをモデル化している。「テーマ設定」(ステップ1)、「グループ・ディスカッション」(ステップ2)、「合意形成」(ステップ3)、「フィールドワーク」(ステップ4)、「構想計画」(ステップ5)、「アクションリサーチ」(ステップ6)、「評価」(ステップ7)。「アクションリサーチ」はステップ6に位置づけられる。その具体的方法は、「手順化」→「実施」→「ブログデータベース」であり、具体的な使用技術は、「パッケージパート法」→「発想メモ」(点メモ花火)→本多勝一氏の「日本語の作文技術」である(下図)。

