ネパール・ヒマラヤ・国際協力

〜 住民主体の環境保全 〜《ヒマラヤ保全協会会員・サポーターむけのブログです》 [Admin]

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特定非営利活動法人ヒマラヤ保全協会事務局長のブログです。

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  3000本の植樹ができる -"One Piece One Tree" プロジェクトがすすむ -

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ヒマラヤ保全協会と(株)アミナコレクションとの共同企画である "One Piece One Tree" プロジェクトがすすんいます。"One Piece One Tree" 商品を1piece(1点)お買い上げいただくごとに、1本の苗木をヒマラヤに植えるというプロジェクトです。 "One Piece One Tree" 商品1piece の代金には、1本の苗木の植樹費100円がふくまれています。

2011年度は、3,000pieceものお買い上げをいただき、300,000円をヒマラヤ保全協会にご納入いただきました。これにより、2012年度に、3,000本の苗木をヒマラヤ山麓に植えさせていただきます。

▼ "One Piece One Tree" 商品
http://www.cayhane.jp/ec/html/category/001/006/673/category673_0.html

  土地本来の広葉樹を植える

東日本大震災の津波の被災地では、「根の浅いマツや杉などは軒並み流されたが、シイ、タブ、カシ類の常緑広葉樹が茂る神社の鎮守の森は流されずのこっていた」(注)。(財)地球環境戦略研究機関 国際生態学センター長の宮脇昭氏は、被災地の瓦礫と土とを混ぜて埋め立て丘をつくり、そこに土地本来の樹種を植えて、本物の森による防潮林をつくることを提唱しています。

ヒマラヤ山麓の植林でも、初期段階ではマツ(針葉樹)を植えますが、次第に、広葉樹の割合を増やしています。


注:宮脇昭「土地本来の本物の森による防潮林を提唱」協力隊かわら版、No.16、2012.1.15

  10万頭いたトラが4000頭前後まで激減した

「100年前には、アジア全域に10万頭のトラがいたと推定されるが、現在では4000頭前後だ」(注)。生息地の破壊と密猟で、トラとその獲物となる動物が激減、のこったトラはほとんどが保護区で生き延びているといいます。

約4000頭のトラのうち、ネパールで報告されたトラのお生息数は124〜229頭です。

トラは、ヒマラヤ山脈からマングローブがしげる熱帯の湿地まで、多様な生息環境に適応できる貴重な動物であり、絶滅を阻止しなければなりません。


注:「消えゆく王者 トラに未来はあるか」ナショナルジオグラフィック日本版、2011年12月号

  出生率と所得には明らかな相関関係がある

「出生率と所得には明らかな相関関係がある」(注)。ナショナルジオグラフィック日本版(2011年9月号)に、各国の出生率(1人の女性が渉外に産む子供の平均数)と、国民1人当たりの総所得(3ランクに分類)との関係が世界各国について世界地図上にあらわされています。

ネパールは、出生率は3、国民1人当たりの総所得は290〜3800ドル(低ランク)に分類されています。出生率は、先進国よりも高く、アフリカ諸国よりは低いです。インドの出生率は2.6、パキスタンの出生率は4、バングラデシュの出生率は2.4です。南アジア、中央アジアでは、2050年までに人口が約10億人増えると予想され、その大半が貧困層であるいわれています。

出生率と所得の関係は、環境問題を解決するうえでも重要です。


注:シリーズ 70億人の地球「少子化とメロドラマ」ナショナルジオグラフィック日本版、2011年9月号

  100円で1本の木を植えよう! -ヒマラヤの大自然を未来につなぐ-

解説 先日、ヒマラヤ保全協会の理事とスタッフが、国際協力NGOセンター(JANIC)からインタビューをうけました。NGOサポート募金」(オンライン寄付サイト)のスタッフインタビューに掲載されます。当協会の活動についてわかりやすく説明されているので、以下に、その内容を転載します。

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1:事業地のひとつシーカ村。40年前は森がなかった(上)。植林により集落のまわりに森がよみがえった(下)。
2:村の生徒たちも主体的に植樹に参加する(ナルチャン村)。
3:苗畑で苗木を育成する(写真はオレンジの苗木)。
4:森から堆肥をはこびだす少女。森は農業の基盤でもある(ティコット村)。
5:ヒマラヤの子供たちと先生(ナルチャン村)。
6:雄大なヒマラヤ。中央は世界最高峰エベレスト(8848m)。この山麓でも植林をおこなっている。
7:村人とのミーティングの様子。


スタッフからのメッセージ
「どのNGOがどのような活動をしているのか分からない方々がたくさんいらっしゃると思います。そんな方々が、環境保全を応援したいという明確な目標をもって寄付ができるNGOサポート募金に期待しています。一人でも多くの方からのご支援ご協力をおねがいいたします」(Kさん)

「ヒマラヤよ永遠に! -住民が主体になった環境保全-」をテーマに、現在までに、ヒマラヤ山麓に約80万本もの植樹をしてきたのがヒマラヤ保全協会です。今日は、理事のWさん、事務局スタッフのKさんにお話を伺いました。

ヒマラヤの環境保全のために
「農村開拓、人口増加、ネパールの人々には木を植える習慣がなかったので、どんどん森がなくなっていく。さらに、ネパール政府の支援もとどかない。ヒマラヤの自然環境を保全し、住民の生活を改善しなければならない」ヒマラヤ探検家で文化人類学者、ヒマラヤ保全協会創設者である川喜田二郎さんが、50年前にネパールを訪れた際の想いから、ヒマラヤ保全協会の活動はスタートしました。

受け継がれる住民参画の理念
川喜田さんがとった活動方法が、地域の自然や文化が一体となった「風土」を活かしつつ、地域の人々と共通の目標を持って活動を展開する「住民参画」です。この「住民参画」とは、地域住民が事業に参加するだけではなく計画立案にもとりくむ、つまり「参加+計画」をあらわしています。最近よく聞かれる「住民参加」にくわえて、計画立案にも住民が主体的に取り組むということであり、活動を開始した1970年代の当時からとても画期的な考え方でした。

「川喜田先生が当時から参画の理念を持っていたからこそ、今まで40年近くも活動を発展してこれたのだと思います。そしてその理念は今では益々重要になってきています」
とKさんは教えてくれました。

「生活林」づくりプロジェクト –里山モデルにより地域を保全する-
自然環境の荒廃が急激にすすむヒマラヤ地域で、ヒマラヤ保全協会が取り組んでいるのが「生活林」づくりプロジェクト、「生活林」とは、日本でいう里山に相当する森林のことです。日本の里山の思想と技術を私たちはヒマラヤ山麓に導入し、ヒマラヤの自然環境を保全し、同時に、住民の生活を改善しようとしているのです。里山をキーにした私たちの活動は、日本人ならではの国際協力ともいえるでしょう。

こうしてこのプロジェクトにより、地域の自然環境を保全するとともに、森林資源を活用しながら住民の生活改善をすすめることができます。現在は、ネパール西部のダウラギリ山麓地域と、ネパール東部のエベレスト街道地域において活動をおこなっています。

「木を植えることが目的ではなく、環境を保全し、住民の生活に役立つということが目的です。だからこそ生活林と言って、植えた木を住民に有効に活用してもらいたいのです」
とWさん。

このように、自然環境の保全は、同時に、そこに住む人びとの生活に役立つことにもなり、環境保全と生活改善とは決して矛盾せず、相互に補完・補強しあう関係であるという考え方に基づいています。

ヒマラヤ植樹100万本を目指して!
「生活林」をつくりだすことで、薪・堆肥・家畜飼料・材木などの森林資源が住民に供給されるようになり、住民の生活が改善されます。また、森林は地滑りや山崩れなどの自然災害の防止にも役立ちます。

ヒマラヤ保全協会は、ただいま、「100円で1本の木を植えよう!」をキャッチフレーズに、ネパールで100万本の植樹達成を目指して活動をすすめています。つまり、100円をご納入いただければ、ヒマラヤ保全協会は1本の木を現地に植えます。1,000円なら10本、10,000円なら100本、100,000円なら1,000本を植えることができます。こうして100万本を達成しようというプログラムです。

Wさんは、
「その100万本が必ずしもすべて生え残っていなければならないわけではありません。薪として、家畜飼料として、現金収入源として、防災林として、住民の生活のために、地域の発展のために役立っていればいいのです」
と教えてくれました。

生活林の文化を生みだす
ネパールで植林をおこなう。それは、言葉以上に大変な作業だったのだそうです。なぜなら、ネパールの人々は木を植えるという習慣が元来なかったからです。

「植林と聞くと日本からスタッフやボランティアが派遣されて、木を植えて帰ってくるということをイメージしがちです。それだけならば簡単ですが、ネパールの住民たちが、自分たちの森は自分たちでつくり、自分たちでそれを管理し、守っていくことが大事なのです」
とWさんは言います。

「習慣を変えるということは非常に難しいことで、ネパールの人々の習慣が変わり、生活様式が改善され、それが地域の文化にまで発展するのには各村で10年はかかります。このような地域文化の創造の一環の一部を私たちは担っているのです」

こうして、ヒマラヤ保全協会では、これまでに12ヵ村において「生活林の文化」を生みだし、そして、これらの村々からは全面撤退し、あらたな事業地へと展開をつづけています。

インプット→処理→アウトプット
ヒマラヤ保全協会は、現在、日本人専従職員は事務局長とKさんの2名、現地のネパール人専従スタッフは10名、そのた多数のボランティア・サポーターという体制で活動をすすめています。Kさんの日々の業務は、ファンドレイジング、経理、広報・イベントなど多岐に一見わたっているようですが、ファンドレイジングにより資金をあつめ(インプット)、それを有効に活用・処理して(プロセッシング)、広報やイベントとしてアウトプットしていくことが仕事の基本です。よくできたアウトプットは適切なファンドレイジング(インプット)につながります。

特に、NPOの経理処理については経験が無かった為、苦労することも多いのだそうです。
「でもこれは自分で選んだ仕事ですし大変なことなど想定内なんです。大変なのは苦ではなく、むしろわくわくするんです」
と笑顔で答えてくれました。Kさん自身が「自分はポジティブ人間」といいますが、インタビューではその強さを実感しました。

沢山の支援者を
そんな木曽さんが現在ヒマラヤ保全協会において達成したいことを聞いてみました。
「もっともっと一般の方にヒマラヤ保全協会の活動のことを知ってもらって、ヒマラヤでの植林活動に参画してもらい、また、植林支援の輪を広げていきたいです。そのために必要な広報強化やクレジット決済の導入などやりたいことが沢山あります」
と教えてくれました。


<インタビューを終えて>
植林とは、ただ単に木を植え環境を守るということだと思っていましたが、それには現地の人々の生活を改善するという大きな役割もあるのだと、改めて気付かされました。また今後国際協力をしていく中で、いかなる援助であっても現地の人々の生活としっかり向き合っていかなければならないと思いました。Kさんのお話を聞くと、不思議ととても元気になります。環境保全は、これからより注目度が増していく分野であると思います。これからもその「ポジティブ・シンキング」を活かして、ヒマラヤの人々とともに夢と希望をもち続けてほしいと思いました。(JANICユース)

  カリコーラ村で苗畑運営のプリテストがすすむ -ソルクンブ地域-

ヒマラヤ保全協会のカウンターパートのひとつであるカリコーラトラストのメンバーとカリコーラ村での苗木育成事業について協議しました。

ヒマラヤ保全協会では、ソルクンブ地域(エベレスト街道地域)においてあらたな植林事業(生活林づくり事業)を開始するために、今年度(2011年度)、カリコーラ村において苗畑運営のプリテストをおこなっており、 マツ(おもにネパールマツ、一部ゴブレマツ)の苗木育成をはじめました。これまでに1万1千本の苗木を育成、2012年1月中に苗木をさらに増やし、合計2万本にします。苗木の本数を正確にかぞえて苗畑運営をモニタリングすることは重要なことであり、定期的に、現状写真を村から送信してもらうことになっています。これらの苗木を、2012年6月〜7月にかけてカリコーラ村に植樹する予定です。

今年度のプリテストが成功した場合は植林事業を開始することになり、今後の植樹計画は、2012年に2万本、2013年に2万5千本、2014年に3万本の苗木を植えていく予定です。

このような植林事業では、つくった苗畑や森林を村人たちがその後どうつかっていくかが重要なことであり、将来の目標や構想をあらかじめ明確に決めておかなければなりません。村人からは、果樹( モモ、ライム、ナシ、オレンジ)などの育成も提案されました。カリコーラ村の下に位置するジュビン村では気温が高いためオレンジもそだちます。

ネパール人から聞いた話のなかに、お金だけを村にあげて校舎をつくり、ヘリコプターで村まで行ってセレモニーだけに出てかえってきた日本人が何人かいたということがありました。このようなお金のばらまきは絶対にしてはなりません。そのためにも、まず、カリコーラ村で一仕事をしっかりやりとげることが大切です。ソルクンブ地域のその他の地域への事業地拡大はカリコーラでできるようになってからということになります。

今回、協議に参加した人々はシェルパ(族)の皆さんであり、彼らは、農耕民族とはことなるビジネスのセンスを持っており、計画性・採算性のある議論ができました。

なお、現在、エベレスト街道の起点であるジリから自動車道路(林道)が徐々に奥地にむけて建設されつつあります。すでに、ジリからバンダールまで(車で3〜4時間)自動車道路が建設されたそうです。2〜3年以内にカリコーラまで道路をつくる話もあるそうです。

  ネパール人を、ホイホイと日本によぶべきではない

(社)日本ネパール協会会報 No.225(注1) に、日本や韓国にはたらきにくるネパール人の実情について、タマン前在日ネパール大使の言葉が掲載されました。今後、私たち日本人がネパール人を日本に受け入れる場合に留意しなければならないことなので以下に引用しておきます。

「日本へ来た多くの学生たちが、どれほど辛い思いをさせられ、泣いているか、知っていますか! 日本人の仲介業者が、若者たちを甘言で誘い、数百人もネパールから連れてくる。田舎の親戚から、なけなしの金を集めて仲介業者に支払い九州から入る(九州の入国管理局が一番容易だと噂されている)。しかし3か月しても6か月経っても仕事はない。日本語学校の費用、生活費、家賃がかさみ、それを返すこともできない。これは人身売買に近い話だ。事前に正確な情報を与えないからこのような事態になるのだ!」

「韓国政府とネパール政府のEPS協定(注2)で、年間4,000人〜10,000人のネパール人が、事前に自分で韓国語を学び、統一試験を経て韓国へ働きに行く。しかし、韓国語の試験に合格しても、その中からさらに選考するから、その選考に漏れた若者は、数か月あるいは数年間田舎から出てきてカトマンズに住み、韓国語を学ぶために要した時間と生活費、学費等を取り戻すことができない。さりとて、カトマンズで韓国語を必要とする職場はほとんどない。彼らは非常に大きな欲求不満と不安を抱えている。最初に選考した後に語学を学ばせるべきだ」


注1:(社)日本ネパール協会会報、2011年12月 No.225、2011年12月20日発行。

注2:韓国EPS(Employment Permit System):ネパールと韓国は2007年7月23日に、ネパール人労働者の韓国就労促進を目的とした労働許可制度に署名し、2008年5,511人(応募者31,525)、2010年4,000人(応募者41,720)、2011年15,298人(応募者50,043)が韓国の正規の労働許可を得た。韓国政府は労働許可制度を15ヵ国と締結し、2010年に2万2,000名の外国人労働者を雇う計画の内、ネパールには4,000名が割り当てられた。今年はさらに大量のネパール人が許可され、年々、韓国での就労に対する関心は高まってきている。これに伴い、韓国語学校及び韓国語学習者の数も増加している。
       

  メイン事業5年、フォローアップ5年 -持続可能性のためにー

質問:事業終了後の持続可能性について心配しているのですがいかがでしょうか?

回答:一般的な国際協力事業では、専門家やボランティアが2〜3年で事業地からいなくなるということが多いようであり、この場合は、2〜3年で成果があがることしかできないということにもなりかねず、長期展望という点で問題があります。

一方、NGO/NPOの場合は、2〜3年で事業地からいなくなるということはなく、メイン事業終了後も継続してフォローアップをしていくことができます。資金源としては、会員やサポーターからの会費や寄付金があります。村の自立を促進するためには、メイン事業終了後、たとえば5年後からのフォローアップ期間では徐々に事業費を減額していき、1つの活動は10年をめどに完全に終了し、施設はハンドオーバー、NGO/NPOは撤退、村は自立します。ヒマラヤ保全協会の場合は、これまでに12ヵ村から全面撤退してきています。10年という期間はあくまでも目安であり、村の状況に応じて短くなることはあります。たとえば、私たちの事業地の一つナルチャン村では7年で植林が終了、森林の維持・管理ができるようになったので苗畑も廃止しました。

むしろ重要なことは、一つの村に長くとどまりすぎないことです。たとえば、一つの村で20年、30年と活動を継続してしまうということは、いつまでたってもその村は自立できないということになります。このような活動の仕方はよくありません。事業をはじめる当初から、最長約10年としておいた方がよいでしょう。

ヒマラヤ保全協会の生活林づくり事業では、最初の5年間のメイン事業で、苗畑管理人などが知識と技術を徐々に身につけていき独り立ちできるようにします。一方で、森林の入会権を確立し、村による主体的な森林経営ができるようにしてゆきます。5年後のメイン事業終了後はフォローアップ期間となり、年ごとに徐々に予算を減額していき、村による自立的森林経営を促進します。植樹は、植林地がなくなるまで(木を植える場所がなくなるまで)継続しておこいます。植林地の面積は村によってことなりますが、およそ10年で植林が終わることになります。ただし、ナルチャン村のように植林地がせまい場合はもっとはやく終わります。森林が再生され入会権が確立した場合、森林の後退がなくなるので苗畑が必要なくなることもあります。

このような過程を通して、地元の人々にできるだけ主体的に事業に参画してもらい、植林の習慣、おおげさにいえば植林の文化をそだて定着させることが私たちの活動の目標になっています。実は、そのための手段として各種ハードウェアを活用し、また、地元に人材を育成しているのです。こうして、植林文化が村に創造されたことを見届けることができれば、カウンターパートも日本のINGOも村からは撤退していきます。もっとも、事業終了後評価のために旧事業地をたまには訪問することはあり、そのときには村人と再会をよろこびあいます。

  百聞は一見にしかず 国際環境協力の現場を見る! -山岳エコロジースクール 参加者募集-

第20回 ネパール・ヒマラヤ「山岳エコロジースクール」〔現地研修会〕参加者募集!

★ テーマ「百聞は一見にしかず 国際環境協力の現場を見る!」★
(1)ヒマラヤをトレッキングし、大自然を満喫します。
(2)ヒマラヤ保全協会の国際環境協力の現場を見学します。
(3)ヒマラヤ保全協会の「生活林」プロジェクトに参加、植樹をします。

【日 程】2012年2月15日(水)〜2012年2月24日(金)
【カトマンドゥ集合・解散】今回のスクールは現地研修会(セミナー)であるため、ネパールの首都カトマンドゥ集合、ポカラ解散です。日本出発の"ツアー"ではないため、日本〜ネパールの航空券は各自でご手配ください。くわしくはご案内しますので、お問い合わせください。
【開催地】ネパール西部、アンナプルナ南麓、パルバット郡サリジャ村
【参加費】一般:79,000円、学生:69,000円(期間中の宿泊費・食費・交通費・研修費がふくまれます)
【申込み締切り】2012年1月25日
【主催】特定非営利活動法人ヒマラヤ保全協会

■■■山岳エコロジースクールのポイント■■■
1)ヒマラヤをトレッキング:ヒマラヤはトレッキングのメッカ。ヒマラヤ山麓をゆっくりと歩きながら、ヒマラヤの大自然を満喫します。
2)国際環境NGOの現場をフィールドワーク:ヒマラヤ保全協会の活動現場をフィールドワーク。この「出会い」と「発見」を通して、みずからを成長させることができます。
3)植林ボランティアとして、村人とともに汗を流す、感動!:ヒマラヤ保全協会がすすめている植林活動にボランティアとして参加、村人とともに汗をながし、森林保全に貢献します。
4)ネパール山村の民家にホームステイ、24時間生活丸ごと体験!:現地の家庭でのホームステイで村人の普段の生活にふれ、異文化を体験できます。ホームステイを通して、その国の本当の姿が見えてきます。

  ネパール・ヒマラヤに里山モデルを導入する -ダウラギリ・プロジェクト-

解説 先日、ある事務所でダウラギリ・プロジェクトについてミーティングをおこない、様々な質問をうけました。その回答を以下に紹介します。

Q:現地事業の背景はどのようなことですか?

A:2011年の2月1日に事業がはじまりまして、もうすこしで1年がたとうとしています。初期の投入(インプット)はお陰様で順調にいき、事業の基礎はできつつあります。

事業の正式名称は「生活林づくりを通した山村復興支援プロジェクト」で、生活林とは、日本でいう里山のことです。ネパール山岳地帯では、里山という用語はそぐわないので生活林という用語を造語しました。ただし、英語で言うと Community Forest ということになりますので、生活林という用語は日本人の間での言葉ということになります。

里山とは、里と山との間にはさまれた地帯に発達した二次林のことでして、日本のすぐれたこの考え方と技術をネパール山岳地帯に導入しようとしています。ネパールの山岳民族は歴史的にみますと、東の方から西の方へ順次移動してきた開拓農民です。次々に、ヒマラヤ斜面の森を切りひらき農地に変えてきました。また、炊事などの燃料として薪を多用し、家畜の放牧もおこなうので、森はみるみる後退してきました。一方で、ネパールには元々植林をする習慣・文化がありませんので、森林は後退するだけであるというのが現実です。そこで、植林事業が必要になってきたわけです。

他方、西ネパールは、貧困地域として知られ、かつての反政府組織マオイストの活動が活発な所です。現在ネパールは、マオイスト政権になっており危険なことはありませんが、内戦当時は、マオイストが政府系の建物を次々に破壊し、政府関係者は都市部へ退避していました。内戦がようやくおわり、現在、政府系の建物も徐々に再建され、公務員ももどりつつあり、山村の復興がおこなわれており、その支援が必要となっています。

このような、森林再生と山村復興支援という課題にこたえるために、住民の生活に根ざしながら、環境保全と生活改善を実現できる「生活林」(里山)を地域住民の主体的参加によりつくりだそうというのが本事業のコンセプトです。


Q:事業の進捗状況はいかがですか?

A:今年の2月から苗木をそだてる苗畑の建設をはじめ、苗木をそだて、6月から8月の雨季に数千本の苗木を植樹しました。各村には、苗畑管理人を雇用しています。ジーン村では、シェルプザさんとタザリさんの2名、ほかの村では各村1名ずつです。各村では、苗畑管理人を中核として苗畑委員会を組織し、苗畑の運営から植樹までを一貫しておこなっています。

比較的根付きがよい、言い換えれば失敗のすくないマツ(針葉樹)の育成・植樹からはじめました。過去の経験では活着率は70パーセントです。ネパール山村では過放牧がすすんでいますので、植林地に家畜が入り込まないようにするためのフェンス(囲い壁)も建設しました。

植樹は、村民全員参加でおこなわれます。ネパール山岳地帯の村々は“村社会”であり、個人主義ではありませんので、植樹の時には全員が一斉に出てきます。彼がやるなら俺はやらないとった個人主義はありません。さぼっているとすぐに見つかってしまうので全員がでてきます。

生活林は、自然環境を再生・保全するだけでなく、住民の生活を改善しますので、住民は、自分たちの森は自分たちでつくりだすという意識をもちつつあります。


Q:作業の記録、作業を実施してみての教訓の蓄積はどのようにしていますか?

A:苗畑報告書(ナーサリーレポート)を定式化しました。フォーマットをつくり、各村の苗畑管理人がネパール語で記入し、カウンターパートであるIHC-Nepal に報告し、IHC-Nepalはそれを英訳します。これにより、記録とともに教訓も順次蓄積されていきます。

また、苗畑管理人らのための合同トレーニングもおこないました。まず、ネパール政府森林局のベニ支所で理論講習(座学)をおこないました。また、ヒマラヤ保全協会の旧事業地であるナンギ村には、村が独自で運営している苗畑と村が雇用しているベテランの苗畑管理人がいますので、あたらしい苗畑管理人全員をナンギ村に派遣して実地訓練(実習)をおこないました。このような方法で教訓を共有し、今後に役立てるようにしています。


Q:住民を対象としたその他のトレーニングはどのようなことをおこないましたか?

A:手工芸品プログラムに関するトレーニングをこなってきました。

事業地のひとつサリジャ村にはイラクサ(ネパール後でアロ)が多数自生していて、イラクサの樹皮から繊維をとりだし糸をつむぎ、機織りをします。このような技術は元々ネパールにありましたので、ネパール人の専門家に指導していただきました。

背景からご説明しますと、1990年代に、UNDP女性支援プログラムがこのあたりにも入ってきていて、女性たちは、織物技術のトレーニングをうけて、ある程度の技術を身につけることができました。しかしその後、ネパールの内戦がはげしくなりってUNDPも撤退し、織機も解体されて民家のかたすみで保管されている状況でした。

これを何とかしようということで、2006年から、在ネパール日本国大使館の協力(NGO連携無償資金協力)を得て、手工芸工房(建物)を建設しました。ポカラのWSDP(Women’s Skill Development Project)所属の青年海外協力隊員にも協力してもらってスキルアップトレーニングなどをおこないました。UNDPが支援しているローカルNGOであるD-MEGA(District Micro-entreprenerur’s Group Association)も定期的にトレーニングをおこなっています。クスマにDーMEGAの直営店があり、そこで生産物を販売しています。

一方で、CSR(Corporate Social Responsibility)をベースにして、日本の企業、(株)アミナコレクション(チャイハネというお店)やヒマラヤンマテリアルの関連工房も商品を買ってくれはじめています。バッグやノートといった完成品は、ポカラやカトマンドゥの業者には今のところかなわないので、織物や紙の半製品を売っています。完成品は今後の課題にしています。

その他、養蜂トレーニングもおこないましたが、これについては後日あらためて報告します。


A:サビハ・プロジェクトとの連携はいかがですか?

Q:「サビハ」とはネパール語の短縮で以下の意味です。

 サ( SA):サムダイク(コミュニティ)
 
ビ( BI):ビカス(開発)
 
ハ( HA):ハリハリ(緑の / つまり森林保全)
 
ア( A):アヨザナ(プロジェクト)

このプロジェクトの正式名称は「地方行政強化を通じた流域管理向上プロジェクト」です。これまでに、森林経営に関するテキストを私たちに300冊提供していただき、人材育成のために活用させていただいております。また、ポカラの事務所の使用を許可していただいております。特に、ネパールは停電が多いので、その折り、発電機のあるポカラ事務所を利用させていただけるとのことで大変たすかります。一方、ヒマラヤ保全協会からは、ネパール政府土壌保全局の担当者(専門家)の人材養成のために奨学金を支給するプログラムを実施しました。具体的には、ネパール国立トリブバン大学工学研究科の修士課程にゴータムさんが進学することができました。ヒマラヤ保全協会は、ネパール政府森林局とはこれまでも交流がありましたが、今後は、土壌保全局とも連携を強化していきます。

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